- 利息制限法とは?
- 出資法について
- グレーゾーン金利
- みなし弁済とは?
- 現在の上限金利と過払い金
借金問題を専門家に相談した場合に、初めて聞く言葉ばかりで戸惑ったことはありませんか?
専門用語や難しい内容で理解出来ないまま、その場をやり過ごしたり・・・。
そんな方のために、わかりやすく解説していきます。
利息制限法とは?

借金問題解決には、度々関わってくるのが利息制限法です。
私たちの生活の中では、様々な法律が存在しています。
その法律によって秩序が維持され、社会生活が保たれています。
簡単に説明すると、ある一定の決まりがないと、好き勝手する人ばかりで統制がとれなくなるという事です。
その沢山ある法律の中に、利息制限法というものがあります。
利息制限法は貸金の上限利息を定めた法律で、高利の取り締まりを目的として、債務者の保護のために制定されています。
この利息制限法は、貸金業者や法人だけが対象になっているのではありません。
個人の貸し借りにも適用される法律です。
現在の上限金利は昭和29年に制定されています。
【利息制限法の上限金利】
- 10万円未満 年20%
- 10万円~100万円未満 年18%
- 100万円以上 年15%
【利息制限法の遅延損害金】
- 10万円未満 年29.2%
- 10万円~100万円未満 年26.28%
- 100万円以上 年21.9%
では、上限金利を超えていたらどうなるでしょうか?
超過分は無効になります。
更に、利息制限法に違反すると、業として行っている場合は行政処分の対象になります。
ここで新しく遅延損害金という言葉が出て来ましたが、遅延損害金は借金する際に返済期日を定めますね。
その返済期日の約束を守らなかった場合の損害賠償です。
簡単に言うと、約束を破ったペナルティです。
遅延損害金は、利息制限法で定めた金利の1.46倍までとされています。
例:年20%×1.46倍=29.2%
ちょっと補足ですが、例えば個人間の貸し借りで、利息を定めていなかった場合があるとします。
その際に返済期日に弁済しなかった場合は、民法で定める損害賠償の年5%が適用されます。
また、商人の場合であれば、商法で定める年6%が適用されます。
出資法について

利息制限法という上限金利を定めた法律があることをご理解頂けたと思います。
次は出資法について説明していきます。
出資法ですが、実はこれは略称になります。
正式には、「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取り締まりに関する法律」と言います。
長いので通常は出資法と略して呼んでいます。
金利を定めた利息制限法があるのに、更に出資法?と思うのではないでしょうか。
この出資法は、いわば金融業者に対する法律です。
簡単に言えば、利息制限法は借主を保護する法律で、出資法は貸主の金融業者のための法律と言えます。
出資法で定める法律の中に、金利も含まれているため、2つの金利を定める法律が存在しているという訳です。
出資法では、金融業者は違反すると刑事罰が科せられる事になります。
(高金利の処罰)
第5条 金銭の貸付けを行う者が、年109.5パーセント(2月29日を含む1年については年109.8パーセントとし、1日当たりについては0.3パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年20パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3 前2項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年109.5パーセント(2月29日を含む1年については年109.8パーセントとし、1日当たりについては0.3パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
出典:出資法
以上のように、金融業者には厳しい罰則が定められています。
現在(2017年)の出資法で定める上限金利は年20%とされています。
これは2010年6月の法改正によって定められました。
出資法が制定された1954年には、年109.5%と驚くような上限金利でした。
そこから何度かの法改正で現在の上限金利20%になっています。
それは、これからご説明するクレーゾーン金利と大きな関係があります。
グレーゾーン金利

グレーゾーンは、言葉の意味の通り白黒はっきりしない曖昧な領域です。
債務整理とどのような関係があるのでしょうか?
グレーゾーンは、先程ご説明した2つの法律の金利が関係してきます。
出資法の上限金利は、2010年6月の改正まで年29.2%でした。
【出資法の上限金利の改正】
- 1986年改正 → 54.75%
- 1991年改正 → 40.0%
- 2000年改正 → 29.2%
- 2010年改正 → 20.0%
改正前を例として50万円融資する場合、利息制限法では年20%の上限金利ですが、出資法では29.2%の上限金利でした。
大手消費者金融などでは、当然利益が多く出る出資法で定める上限を基準としていました。
要するに、この20%~29.2%の間をグレーゾーン金利と言います。
法改正以前は、利息制限法に違反しても行政処分などがありませんでした。
そのため、多くの金融業者は出資法の上限で融資していました。
更に混乱させたのが、貸金業規制法に「みなし弁済」というものがありました。
みなし弁済とは?

貸金業規制法は、通常「貸金業法」と呼ばれる貸金業者に対する法律です。
貸金業法の第43条に、みなし弁済というものが定められていました。
これは、「一定の条件を満たしている場合、利息制限法を超える金利で貸付けしても良い」というものです。
一定の条件とは・・・
- 債務者が『任意に支払った』
- 17条書面(契約書・貸付明細)を交付した
- 18条書面(領収書)を交付した
上記を満たしているとの解釈で、貸金業者はみなし弁済を大いに利用していました。
みなし弁済は、グレーゾーン金利を助長させるものでした。
現在の上限金利と過払い金

その後2010年6月に、出資法と貸金業法、利息制限法が一斉に法改正されました。
グレーゾーン金利を無くすべく、全ての上限金利を統一しました。
更にみなし弁済も廃止されます。
その切っ掛けとなったのが、平成16年(受)第1518号貸金請求事件の判決です。
この判例が基盤となり、貸金業者の20%を超える利息が無効ということになってしまいました。
民法703条(不当利得の返還義務)
「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」
出典:民法
この民法703条によって、「不当利得の返還請求」、つまり過払い金請求が出来ることになります。
これまでの取引履歴を改正後の法定利率で引き直し計算し、その差額が過払い金として発生します。
但し、過払い金返還にも、通常の債権と同様に10年という消滅時効があります(民法167条)。

利息制限法・出資法・グレーゾーン金利について説明してきました。
普段の生活の中では、余り聞き慣れない法律用語なので、理解し納得するのは難しいものです。
丁寧に説明してくれる法律家もいますが、専門用語で早口に話してしまう法律家も少なくありません。
債務整理の相談前に、ご自身でも下調べをして行くこと、理解度も違ってくるでしょう。
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