- 過払い金請求するメリット
- 過払い金請求するデメリット
- 過払い金請求を急ぐ理由は?
払い過ぎていたお金を取り戻す、過払い金返還請求。
テレビのCMでもお馴染みになっていますから、一度は目にされた事があると思います。
借金の経験がある方は、「自分にも過払い金があるのでは?」と気になるところですね。
そんな過払い金請求のメリット・デメリットについて、詳しくご説明していきます。
過払い金請求するメリット

ご存知でしょうか?
貸金の金利を定めているのは、次の2つの法律です。
- 利息制限法
- 出資法
2010年6月に出資法で定める貸金の上限金利改正が行われました。
それによって何が変わったかというと、利息制限法と出資法の上限金利が統一されました。
グレーゾーン金利といわれていた曖昧な部分が完全に廃止された事になります。
更に、そのグレーゾーン金利で借入していた方は、払い過ぎていた利息として、過払い金を返還請求することが出来るようになりました。
具体的なメリット
当然ですがお金が戻ってくるのは、最大限のメリットと言えます。
なぜ返還請求ができるのかと疑問に思いませんか?
法律は過去の裁判の判決が判例となり、以降の裁判の基準として扱うからです。
民法703条(不当利得の返還義務)
「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」
出典:民法
この民法703条を主張することで、法定利率で引き直し計算した差額(払い過ぎていた利息)を、過払い金返還請求できるようになりました。
また、みなし弁済が裁判の鍵となりました。
当初多くの大手消費者金融は、あの手この手で過払い金返還訴訟に反論していましたが、そのうち法的に勝ち目がないと諦めざるを得ませんでした。
その後も、次々に同様の判決を勝ち取り、過払い金請求は一般的なものへとなりました。
グレーゾーン金利廃止がきっかけになり、過払い金返還請求の時代がやってきました。
但し、過払い金返還請求にも、10年という消滅時効があります(民法167条)ので注意が必要です。
ブラックリストに登録されません!
過払い金の返還請求をしても、個人信用情報、いわゆるブラックリストには基本的に登録されることはありません。
実は、過去に登録されていた時期があります。
消費者金融は、「コード71」契約見直しという番号で過払い金請求した人を把握していました。
しかし、平成22年に金融庁の指導で、契約見直しの登録を禁止する事になります。
よって、過払い金請求をしたからといって、ブラックリストに載る心配はありません。
過払い金請求するデメリット

過払い金請求にも多少のデメリットがあります。
重大なデメリットはありませんが、その中でも幾つかデメリットをご紹介します。
- 過払い請求した業者からは今後借入できない
- 弁護士や司法書士に依頼すれば時間や費用がかかる
- 残債務があると任意整理扱いになる
過払い請求した業者からは今後借入できない
多くの消費者金融やクレジットカード会社では、個人信用情報(ブラックリスト)とは別に、個々の業者独自の顧客情報を保管しています。
過払い金請求していれば、当然にその事実が登録される事になります。
そうなると、再度の借入や新規の申し込みが難しくなります。
弁護士や司法書士に依頼すれば時間や費用がかかる
専門家に依頼すれば、相応の時間がかかります。
金融会社によっても違いますが、一般的には履歴の開示に1ヶ月程要します。
更に引き直し計算して過払い金確定後、交渉に入ります。
ケースバイケースではありますが、交渉が難航すれば訴訟になります。
訴訟になると、更に1~2ヶ月は時間がかかるでしょう。
和解後の支払日は通常数ヶ月先になる為、結局依頼してから半年前後は覚悟が必要です。
資金繰りの厳しい業者の場合は、更に支払日は何ヶ月も先のことがあります。
また専門家に依頼すると、当たり前のことですが着手金や報酬などの費用が発生します。
相場では返還額の20%、訴訟の場合は25%程度が多いようです。
その金額を不満に思い、自分で返還請求しようと考える方がいます。
しかし、個人で返還請求すると、次のような事態が起こる場合が多いでしょう。
- 取引履歴開示に時間がかかる
- 低い返還額を提示される
- 交渉が上手くいかない
- 家族にバレてしまう
当然ですが、無駄な時間や手間が生じます。
更に、相手が個人だと、消費者金融やクレジットカード会社は後回しにするなど、法律家とは違った対応をします。
業者によっては、全く相手にされない場合もあります。
交渉に慣れている専門家と違い、低い金額で和解せざるを得なくなる傾向が強いようです。
また、郵便物(契約書や返還書類など)を自宅に送付されてしまい、秘密にしていた借金が家族にバレてしまうといった事態もあります。
残債務があると任意整理扱いになる
例えば、キャッシングとショッピングの2口の借入があったとします。
キャッシングに過払い金が発生していて、ショッピングの債務に充当しても残債務があると、任意整理になってしまいます。
債務の圧縮はできるものの、任意整理の場合は事故扱いとして、個人信用情報(ブラックリスト)に掲載されますので、慎重に進める必要があります。
過払い金請求を急ぐ理由は?

過払い金が発生していても、金融業者が倒産してしまっては、取れるものも取れなくなります。
先程もお伝えしたように、2010年6月の出資法改正がきっかけで、過払い金ブームが勃発しました。
そのため、各消費者金融は資金繰りが苦しくなり、有名なところでは業界大手の武富士が会社更生手続に入りました。
商工ローン最大手のSFOGやロプロ。
SFコーポレーション、アエルなども同様です。
アイフルに至っては「事業再生ADR」を申立てしています。
【会社更生手続とは】
窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする」法的整理手続です。
引用:会社更生法1条
簡単に言うと、裁判所に選任された管財人(通常は弁護士)によって、更生計画案の作成がされ、計画案に基づいて法的遂行をする手続きです。
【事業再生ADRとは】
事業再生ADR制度は、過剰債務に悩む企業の問題を解決するために生まれた制度です。
アイフルは倒産をせずに、事業再生ADR制度を利用して、事業の再建に取り組んできました。
アイフルはノンバンクの消費者金融のため、資金調達には苦労していました。
しかし、2015年8月25日には、取引金融機関から返済を猶予されていた金額(融資527億円)を前倒しで完済しています。
過払い金の返還額は依然として低い金額であり、今後も不安定な経営状態は続くと言われています。

このように、大手といわれる金融会社が倒産したり、法的手続きをとっています。
今現在営業している金融業者が、いつ倒産の危機が訪れるとも限りません。
過払い金がある方、もしくは過払い金があるのではないかと思われる方は、早めに専門家に相談する事をお勧めします。
また、先程もお伝えしたように、過払い金には時効があります。
最終の取引から10年を経過すると、民法167条の消滅時効に該当してしまいますから、ご注意下さい。
自己破産や個人再生について
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