自己破産 車を残す方法車の引き上げ 名義変更

  • 自己破産における車の扱い
  • 車は必ず引き上げされる?
  • 名義変更は可能か?
  • 自己破産で車を残す方法

自己破産を決意した時に、自家用車の扱いについて気になるところです。

そのまま手元に置いておきたいのは正直な話です。

そこで、自己破産では車がどのように扱われるのかをお伝えしていきます。

自己破産における車の扱い

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自己破産の道しかない!でも車は手放したくない!それが誰しも本音ではないでしょうか。

自己破産は全ての借金を免除してもらうため、当然ですが財産(車・バイク・家など)を手元に残す事は難しくなります。

破産手続きでは、破産者の財産を換価処分して、債権者に公平に配当するからです。

財産として扱われるのは、不動産・動産・金銭・債権など広範囲に亘ります。

ここで復習ですが、自己破産には大きく分けて次の2つの手続きがあります。

  • 同時廃止事件
  • 管財事件

管財事件には簡易化された少額管財という取扱いもあります。

破産法では、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定がなされる」とされています。

簡単に説明すると、特段の財産が無い場合は、わざわざ管財人を定める必要はないといった意味合いになります。

破産手続開始決定と同時に、破産手続廃止決定を行うのが、同時廃止事件です。

一方、何らかの財産を有している場合は管財事件となり、裁判所によって破産管財人が選出されます。

一般的に破産管財人は、裁判所に登録をしている弁護士が選ばれます。

この破産管財人によって管理や処分される破産者の財産を「破産財団」と言います。

しかし、全ての財産を「破産財団」とする訳ではありません。

  • 破産手続開始時に破産者が有している
  • 換価価値のある財産である
  • 差押えが可能である
  • 自由財産でないこと

以上の要件を満たす財産になります。

車は必ず引き上げされる?

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次は車にスポットを当てて考えてみましょう。

先程ご説明した「破産財団」の要件に沿って確認します。

破産手続開始時に破産者が有している

使用者であって、車の所有者が自己破産する者でなければ、当然に没収されることはありません。

よくあるのが、普段その車を使用していても、実際の所有者は配偶者や親などという場合があります。

車検証で確認してみましょう。

また、車はよくオートローンを組んでいる場合があります。

その場合、車検証をご覧頂くと分かりますが、車の所有者はローン会社になっています。

ローンを完済した時点で、はじめて所有権が移ることになります。

その様な場合、他人の物は破産財団には組み込むことができません。

しかし、車はローン会社によって引き上げられてしまいます。

通常オートローンには所有権留保条項という担保特約が設定されているからです。

ローン会社は自己破産することを知ると、早々に引き上げ作業をすることになります。

車のローンだけは支払いたいと考える人が多いのですが、特定の債権者にだけ弁済することを、破産法では偏波弁済といって不許可事由になります。

換価価値のある財産である

車は20万円以上の換価価値がある時、破産財団に組み込むと定められています。

減価償却期間を過ぎている場合、目安として国産車は普通乗用車であれば6年・軽自動車は4年の経過で無価値と判断される事が多いでしょう(裁判所によって運用の違いあり)。

また、車に関しては中古車買取店での査定も基準になります。

さらに輸入車については、国産車とはまた扱いが違います。

年式が古くても高値が付く場合があるからです。

いずれにしても、査定額によっては没収の可能性が出てくるでしょう。

名義変更は可能か?

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自己破産申立直前に、車の名義を変更しようと考える方がいます。

これは自己破産する上で問題にならないのでしょうか?

車を手放したくない為に、名義変更を実行しようとする方がいます。

しかし、これは破産法の不許可事由に該当してしまいます。

故意に財産を隠したことになり、免責がもらえない可能性が出て来ます。

中にはどうせバレないだろうと、財産目録から除外してしまう方もいるでしょう。

しかし、提出した書類からバレることが往々にしてあります。

例えば、持っている全ての預金通帳は、2年間遡って提出することになり、裁判所では隈なく調査をするため、オートローンや給油と思われる引落しなどを発見されてしまいます。

また、免責を許可された後に発覚しても、詐欺破産罪という刑事罰に科せられます。

当然に免責決定は取り消され、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられます。

自己破産で車を残す方法

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自己破産における車の取扱いについてお伝えしてきました。

では、車を手元に残す方法は何も無いのでしょうか?

究極2つの方法があります。

しかし、必ずしも成功するとは限らない為、自己破産を依頼した弁護士とよく相談することが必要です。

  • オートローンの名義変更をする
  • 破産財団から車を買取る

オートローンの名義変更をする

オートローンの名義変更は、ローン会社の協力がないとできません。

ローン会社によっては、一切認めない禁止事項になっている場合もあります。

親族などに頼んで引き受けてくれる際は、3者間の話し合いになります。

できれば残金を一括で支払ってもらい、車は支払ってくれた親族名義に変更します。

ローン会社としても、車を引き揚げたところで残債権の全額は充当できないでしょうから、債務の引受をしてもらった方が損失は少なく済みます。

但し、時期によっては先程ご説明した偏波弁済に該当してしまうため、慎重に進める必要があります。

破産財団から車を買取る

車の査定が20万円以上あった場合は、当然に破産財団へ組み込まれることになります。

そうした場合は、管財事件として破産管財人が選定されます。

破産管財人は、それらの破産財団を換価して各債権者へ公平に分配します。

破産管財人が売却する訳ですから、親族などの誰かが買取りを希望するという方法です。

しかし、管財人の意思に左右されるため、必ずしも買い取れるとは限りません。

いずれにしても、思惑通りにいかない可能性を含んでいるため、弁護士などの専門家とよく相談することが重です。

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