- 自己破産の流れ
- 「免責許可」をもらってからの社会復帰
- クレジットカードは作れる?
借金で破綻してしまい、支払い不能状態になると、最終手段は自己破産しかありません。
法的救済で人生をリセットした後の、社会復帰についてお伝えしていきます。
再度クレジットカードは作れるのでしょうか?
そんな気になるところもあわせてお伝えしていきます。
自己破産の流れ

多額の債務を背負い、自身の持っている全ての資産を充てても支払いができない状態。
その様に継続的な「支払い不能状態」の場合に自己破産の申し立てができます。
自己破産の申し立ては、自己破産をする者の、住所地を管轄する地方裁判所に行います。
自分で申立てすることも可能ですが、書類の準備が煩雑で手間もかかるため、通常は法律家に依頼することが多くなります。
実は、弁護士に依頼する場合と、司法書士に依頼する場合とでは、業務が少し違っています。
破産申立てに関する弁護士と司法書士の違い
どちらでも法律家だから同じと思っている方が多いと思いますが、簡単に説明すると次のようになります。
- 弁護士 :代理人
- 司法書士:書類作成代理人
司法書士は、簡易裁判所に対する代理権しかありません。
自己破産は地方裁判所で扱うため、代理人にはなれず書類作成という事になってしまいます。
どちらも債務者の書類を作成する点は同じですが、大きな違いは裁判官と面談する「審尋」に立ち会えるか否かになります。
東京地方裁判所に関しては、「即日面接」の制度があり、代理人との面談で当日に「破産手続開始決定」がもらえるスピーディーな制度です。
また、管財事件(財産がある場合)の、予納金が変わってきます。
予納金とは、破産者の財産について調査する、破産管財人と呼ばれる弁護士の報酬に充当されるものです。
弁護士の場合は少額管財事件として20万円の予納金になり、通常は50万円になります。
但し、自己破産の報酬が、一般的に弁護士より司法書士の方が安いメリットがあります。
自己破産の進み方
一般的な自己破産の流れになります。
- 弁護士・司法書士へ依頼
- 裁判所へ自己破産の申立て
- 破産審尋
- 破産手続開始決定
- 免責審尋
- 免責許可決定
弁護士や司法書士に自己破産の依頼と同時に、必要書類の準備が必要です。
収入証明や給料の3ヶ月分の明細など、細々とした書類を揃える必要があるため、弁護士や司法書士の指示に従い確認しながら揃えることになります。
申立て書類が整うと、裁判所へ自己破産の申立てがなされます。
各裁判所によっても違いがありますが、約1ヶ月程度で審尋の出頭呼び出しがあります(省略する場合もあります)。
その後「破産手続開始決定」があります。
「破産手続開始決定」がされたと言うことは、「破産者」になった事を意味します。
破産者になると?
- 官報に掲載される
- 資格制限がある
- 転居や長期の旅行制限(裁判所の許可必要)
- 新たな借金やローンが組めない
- 管理処分権の喪失(管財事件)
- 通信の秘密の制限(管財事件)
官報とは国の新聞のようなもので、一般の人は滅多に目にすることはありません。
破産者は「破産手続開始決定」と「免責許可決定」の2回官報に掲載されることになります。
そして、特徴的なのは資格制限があることです。
公法的な資格と民法的な資格があります。
復権するまで一時的にその職業・資格に就けなくなるデメリットがあります。
中には欠格事由に該当して剥奪や消滅するものもあります。
- 弁護士
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 公認会計士
- 公証人
- 不動産鑑定士
- 質屋
- 古物商
- 損害保険代理店
- 警備業者
- 宅地建物取引業者
- 社会保険労務士 など
主な資格であり、多岐に亘っていて全部は紹介しきれません。
- 代理人
- 後見人
- 後見監督人
- 保佐人
- 補助人
- 遺言執行者
生活上の制限
所在が分からなくなることを懸念して、転居や長期の旅行制限があります。
必ず裁判所の許可を得ることになります。
また、管財事件になると、管理処分権の喪失と言って、現在保有している財産を自分で処分できなくなります。
全て破産管財人によって実行される事になります。
更に、通信の秘密の制限は、破産者宛の郵便物は破産管財人の事務所に転送され、不審なことがないか確認されます。
当然ですが、新たな借入やローンは組めません。
勘違いされていること

自己破産に関して、勘違いされていることがあります。
確認してみましょう!
選挙権がなくなる
理由は不明ですが、以前から噂が広まっていて、破産者は選挙権がなくなると言われています。
実際には公民権は喪失しませんので安心して下さい。
破産者名簿に記載される
本籍地の市区町村役場に記載されると聞くと、戸籍や住民票に記載されるのでは?と心配になりますね。
しかし実際には、各市区町村役場には、「破産者名簿」と言われるものが備わっています。
旧破産法では「破産手続開始決定」がなされると、「破産者名簿」に記載され、「免責許可決定」を受けた後に抹消されていました。
ところが、2005年に破産法が改正され、新破産法では「破産者名簿」への記載規定が変更になりました。
「破産手続開始決定」を受けて、「免責許可決定」が下りない人だけが記載されるようになったからです。
自己破産での「免責許可決定」は、約9割以上と言われていますので、殆どの人が「破産者名簿」には記載されていない事になります。
家財道具を差し押えされる
強制執行と混同されていますが、自己破産では必要最低限の生活は保障されています。
家電や家具などを、差し押さえされることは殆どありません。
但し、20万円以上の価値があるようなものは、引き上げて換金し債権者に配当されることになります。
免責許可をもらってからの社会復帰

管財事件でなければ、「破産手続開始決定」から約3~4ヶ月で「免責許可決定」が下されます。
管財事件の場合は、自宅の売却など長期間を必要とするものがありますので、時間が掛かってしまいます。
「免責許可決定」により資格制限などが復権し社会復帰できます。
自己破産したことは、勤務先にも知られることはありませんので、これまで通り仕事をすることができます。
もし求職中であっても、就職試験の際に自己破産したことを知られることはないでしょう。
家族へも特段の影響はありませんが、自宅を手放していれば、新たに賃貸で住居を借りることになってしまいます。
しかし、心機一転新たなスタートを切ることができます。
ところが、「免責許可決定」で消費者金融などからの借金は免除されても、次のものだけは非免責債権と言って、支払い義務があります。
- 税金(住民税・自動車税他)
- 悪意の損害賠償
- 子供の養育費
- 離婚の慰謝料
- 従業員の給料
- 罰金などの過料
特に多重債務などで生活が困窮していた場合、殆どが住民税・県民税といった税金関係を滞納しています。
しかし、税金は免責されないため、今後も支払っていく必要があります。
市区町村役場の担当窓口で相談し、分割などの支払い方法を検討する必要があります。
その他にも、上記のように免責されない債権があるので注意しましょう。
クレジットカードは作れる?

自己破産後にクレジットカードは作れるのでしょうか?
やはり、持っていると便利なのがクレジットカードです。
自己破産したことは、個人信用情報機関へ事故扱いで記録されてしまいます。
俗に言うブラックリストです。
日本にはCIC、JICC、KSCの3つの個人信用情報機関があります。
記録はCICの場合「異動」「法定免責」のように記載され、「異動」は「破産手続開始決定」がなされた時で、「法定免責」は「免責許可決定」を受けた時に記載されます。
JICCは「破産申立」のように記載されます。
裁判所はこれらの決定を各債権者に文書で知らせるため、受け取った債権者が個人信用情報機関へ通知することになります。
弁護士や司法書士に依頼していれば、更に各債権者へ「免責許可決定」がなされた旨の通知を、送付してくれるでしょう。
記録されている期間は、CIC・JICCは約5年間記載されていると言われています。
銀行系のKSCは官報の内容が残されており、約10年間記載されてしまいます。
よって、登録されている間は新たなクレジットカードを作ることは難しいと言えます。
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