- 自己破産すると奨学金の保証人に迷惑がかかる?
- 自己破産をする前に!奨学金の返済に困ったら?
- 奨学金を機関保証で借りるべき?
大学などへ進学するためにお金を借りる奨学金制度ですが、奨学金を借りて進学する学生が多い中、その返済に悩みを抱えている人が増えています。
自己破産を考えるまでに追い込まれることも少なくありません。
奨学金と自己破産について、また、返済に困ったときの対処法などをまとめています。
自己破産すると奨学金の保証人に迷惑がかかる?

経済的に苦しいなどの理由から、大学などへの学校の進学のために大変便利な奨学金制度。
卒業して社会人になって返せばいいといえば簡単ですが、そんな便利な制度も、実際には返済が大変で生活にまで影響が出てしまうというケースも少なくありません。
また、奨学金の返済ができないために、最終的に自己破産を考えているという方もとても多いのです。
まずはじめに、奨学金を借りる方法についてはお話しましょう。
奨学金を借りるためには保証人が必要となる

日本最大の奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)が提供している奨学金になります。
一般的に奨学金という場合、こちらの奨学金を利用している方が多いでしょう。
また、この奨学金は貸与型で、返済をしなければいけない奨学金になります。
- 貸与型の奨学金になる
- 借りるには保証人を用意しなければならない
- 保証人が用意できない場合は、保証会社を設定する必要がある(機関保証)
奨学金は借金ということになりますから、保証人を用意しなければいけなくなるわけです。
- 人的保証
連帯保証人と保証人の2名たてる
親や親戚などになってもらうことが多い - 機関保証
保証会社に保証人になってもらう
日本学生支援機構では、奨学金の申込みの際には保証人を必ず用意しなければなりません。
その保証人がこの2つになるわけです。
これからお話する奨学金と自己破産については、人的保証で奨学金を借りた場合がメインになります。
話を進めていく前に、ここで、連帯保証人と保証人についてまずお話しておきましょう。
- 連帯保証人
借金した本人と連帯して保証する(借りた人と同じ義務を負う)
基本的に、借りた人の両親どちらかがなる - 保証人
基本的に、4親等以内の親族で連帯保証人と別生計となるものがなる(叔父や叔母、祖父母など)
ここでのお話の場合、奨学金を借りている場合となりますが、その借りている本人と連帯保証人は、同じ返済義務を負っていると考えていいでしょう。
一方で、保証人は、連帯保証人に比べると、背負っている義務は少なく、借りた本人が返済できずに債権者から支払うように言われても「本人か連帯保証人から取り立てて」と言うことができます。
ですが、借りた本人も連帯保証人も自己破産などして返済できなくなった場合には、保証人が返済義務を負うことになってしまいます。
奨学金が返済できない、自己破産できる理由になる?
まずは、奨学金の返済ができないからといって、それが原因で自己破産できるのかという点についてお話していきます。

自己破産とは、借金で破たんしてしまった生活を立て直すことを目的とした制度になります。
持っている財産はすべてではないものの、20万円以上のものは手放すこととなり、それを債権者に分配することになります。
ここでお話している奨学金の返済義務はもちろん、家賃の滞納や金融会社などの借金もその対象となるので、それらの返済義務も免除されます。
年収の1.5倍以上の借金があるなどの条件を満たしていれば、基本的には、どんな人でも手続きすることができます。
ですが、自己破産は、債権者にとって不利益になることをわかったうえで、債務を免責にすることですから、「債務者がどんな資産状況であるか」「どのくらいの債務を抱えているのか」など、細かく調査されることになります。

この調査には、真摯に受け答えしなければなりませんし、虚偽や非協力な態度をとると、免責が許可されないこともあります。
また、『免責不許可事由』といってこれに該当しないことも条件となります。
- 債権者に対する背信的な行為
- ギャンブルや浪費などで大幅に財産を減らした
などがこれにあたります。
かなり簡単まとめてしまいましたが、『破産法第252条』で定められているものです。
例えば、「すでに多額の借金をして返済に困っているのに、実際よりも借金を少なく見せて申告して、新たに借入した」といった行為もこれに該当する行為です。
免責不許可事由に該当したら免責の許可は下りないのか?というとそうではなく、裁判所が事情を考慮して免責の許可が下りたというケースもあります。
奨学金で自己破産したら、どんな影響があるのか?
さて、こちらでは、奨学金の返済で自己破産をした場合、どのような影響やデメリットがあるのかをお話していきたいと思います。
自己破産をしたら、奨学金(借金)を借りた本人の返済義務はなくなります。
これは奨学金に関わらず、借金をして返済に困った場合、自己破産の申立てをして免責許可が出れば、借金は免責されるということになります。

ですが、奨学金を借りた本人の返済義務がなくなっても、保証人へすべて請求されることになります。
つまり、連帯保証人、もしくは保証人に迷惑がかかるということですね。
そのほかにも、いくつかのデメリットがあります。
- 連帯保証人に支払い義務が生じる
- 信用情報機関(ブラックリスト)に登録される
- 財産を手放すことになる
- 就ける職業が制限されてしまう
- 官報(国が発行する機関紙)に掲載される
とこのようなデメリットがあります。
連帯保証人に支払い義務が生じる
これについては、次の項目で詳しくお話していきますが、今回のテーマにもなっている、連帯保証人や保証人に迷惑がかかるということですね。
借りた本人が自己破産の手続きをした場合、連帯保証人に返済の義務が生じます。
払いたくないと言っても、連帯保証人になっている以上は支払わなくてはなりません。
また、連帯保証人も自己破産した場合は、保証人に支払い義務が生じることになります。
信用情報機関(ブラックリスト)に登録される
自己破産をすると、信用情報機関、いわゆるブラックリストですね、そちらに登録されることになります。
- 新たなローンが組めなくなる
- クレジットカードが作れない
といった影響が出ることになります。
信用情報機関はいくつかありますが、だいたい5年、長くても10年間は登録されます。
ですが、その期間が過ぎて登録が消されれば、またローンを組んだりクレジットカードを作ることはできます。
財産を手放すことになる
自己破産をしたあとの生活もありますから、持っているすべての財産が没収されるというわけではありませんが、預貯金、不動産や車など20万円以上の財産は没収されます。
そして、債権者に分配されるということになります。
就ける職業が制限されてしまう
免責手続きが完了するまでは、つぎの職業に就くことはできなくなります。
- 弁護士
- 司法書士
- 旅行業者
- 警備員
など、これらは一部になりますが、免責許可が下りるまでは就くことはできません。
官報(国が発行する機関紙)に掲載される
官報という国が発行する機関紙に、住所や名前が掲載されることになります。
自己破産したことがバレてしまうのでは?と思われるかもしれませんが、一般の人が見るものではないので、それほど心配しなくても大丈夫でしょう。
保証人に奨学金の返済義務が生じたとき、
返済方法は?
借りた本人が自己破産の手続きをした場合、連帯保証人にその支払い義務が生じることになります。
では、どうやって返済していけばいいのでしょうか。
例えば、連帯保証人が親としましょう。
仮に400万円の奨学金の返済義務があり、それを残して自己破産したとします。
- 一括返済する
- 分割で返済する
と、このような返済方法があります。
一括で返済する
もし資産がある場合には、一括で返済されるのがよいでしょう。
分割で支払うこともできますが、その場合利息も支払わなければなりません。
例えば400万円を20年かけて支払うといった場合には、利息だけ100万円以上支払うことになります。
そう考えると、一括で返済できるのであれば、その方がいいですよね。
分割で返済する
連帯保証人が奨学金の返済をすることになった場合、返済方法を分割にすることもできます。
15~25年の分割を選ばれることが多く、400万円の場合でしたら、15年間で月々2万円の支払いが目安になります。
また、先ほどお話したように、利息も支払うことになりその金額も高額になります。
- 第一種奨学金の場合
利息はつかない - 第二種奨学金の場合
変動制の金利が適用されている
年に0.1%から最大で3%まで
このようになっていますが、第二種奨学金の場合、年によって金利が変わるものの大体年利1%以下であることが多いです。
銀行の教育ローンでは、年利4%くらいですから、それに比べると日本学生支援機構の奨学金の年利はかなり低く設定されていますよね。

ですが、返済期間が長いほど、支払う利息も高額になります。
忘れずに、きちんと頭に入れておくといいですね。
連帯保証人も返済できない場合は?
連帯保証人に奨学金の返済義務が生じますが、連帯保証人も返済できないとなった場合、どうしたらいいのでしょうか?
- 民事再生(個人再生)をする
- 自己破産をする
民事再生(個人再生)をする

負債額の10分の1を上限に負債を減らせる制度です。
500万円の奨学金があった状態で個人再生した場合には、100万円まで負債を減らすことが可能です。
個人再生後の減った負債は、手続きをした本人が計画的に返済していくのですが、残りの減額した分は連帯保証人に一括請求されます。
自己破産をする
自己破産をするのは、最終手段と考えるのがよいでしょう。
あまりに高額な返済を請け負うことになると、親子共に自己破産してしまうという『破産の連鎖』が起こることもあります。
自己破産をすれば、奨学金を返済する義務はなくなりますが、住宅がある場合は処分しなければなりませんし、そのほかの財産の処分や新たなローンやクレジットカードが作れなくなってしまいます。
自己破産をする前に!奨学金の返済に困ったら?
就職したら返していこう!と借りても、実際には返済に困ってしまう方が多いといいます。
どうしても返済できないとなってしまったら、最終的には自己破産という手段もあります。

ですが、自己破産はあくまでも最終手段として考えてください。
自己破産をするとさまざまなデメリットが生じてしまう、連帯保証人に迷惑がかかるということもありますが、ほかの手段がないわけではないのです。
その手段についてお話をする前に、どうして奨学金の返済に困る方が増えているのか、気になりませんか?
奨学金の返済で困る人が増えている原因とは
冒頭でお話しましたように、多くの方が奨学金を利用し、その中でも奨学金の返済に困っている方が増えています。
悩みに悩んだ末、自己破産まで考えている方も増えているといいます。
その原因とはいったい何のでしょうか?
- 奨学金を借金と認識していない
- 雇用の悪化が影響している
- 収入の低下
- 学費の高騰
- 高校以上の学歴が当たり前という風潮
などといった原因が挙げられます。
奨学金を借金と認識していない
『奨学金は借金だ』ということを認識していない方が多く、その認識の低さが返済に困ってしまう原因につながっているといえるでしょう。
奨学金は借金ですから、返済が遅れた場合は催告や取り立てがありますし、状況によっては差し押さえなどの場合もあります。
雇用の悪化が影響している
日本経済はまだまだ不況が続いているため、正社員として採用されずに非正規雇用で働いているという方も多いでしょう。
非正規雇用で働いていても収入が少なく、返したくても返せないといったケースもあります。
収入の低下
奨学金を利用する方が増えた背景には、学生の親世代の収入の低下が下がったことも考えられています。
バブル期など親が子供の学費を払うのは当たり前だった頃とは違い、不景気の今では、奨学金に頼らなければ大学に通わせることができないという家庭が増えていることも原因の一つとなってるといっても過言ではありません。
高卒以上の学歴が当たり前という風潮
ちょっと昔であれば、「お金がなければ高卒で働く」という考えが多かったでしょう。
ですが、今は、「大学に行かないとろくな仕事に就くことができない」というような風潮が当たり前のようになり、そのため無理をしてまでも大学に進学しようという方が増えています。
良い仕事に就くために奨学金を利用して大学に入っても、新卒でのお給料ではやりくりが大変ということもあるようです。
特に、一人暮らしの場合は、家賃や生活費がかかりますから、返済するのが大変になってしまうというケースも少なくありません。
実際にあった奨学金破産のケース
では、つぎに、実際にあった奨学金による破産のケースをご紹介していきたいと思います。
【父親と兄である自分が保証人になった 50代 男性のケース】
妹が大学に通う為、妹自身が働いて返済するということで、月10万円の奨学金を借りた。
しかし、妹が病気のため仕事ができず失業、返済できずに自己破産してしまった。
父はすでに他界したために、自分に返済の請求がくることに。
元本に利子と延滞金が上乗せされ、その額約800万円。
正社員で働いているものの、家族がいるため自分たちの生活で払える余裕などない。
奨学金を借りたときは、妹さんも自分が頑張って返していくという強い気持ちがあったでしょうが、なにが起こるかわかりませんね。。。
お兄さんもなんとかしてあげたいという気持ちはあるでしょうが、返済額も大きいですし、何よりご自分の家庭もありますから、つらいところだと思います。
このケースでは、延滞金が上乗せされたとありますが、延滞金ってどのくらい発生するのか気になりますよね。
督促のしくみを見ていきましょう。
- 奨学金の返済予定日を過ぎると、5%の延滞金が上乗せされる
まずは、文書や電話などで督促を行う
※ 延滞金が膨らみ、元金を上回る場合もある - 延滞3ヵ月
信用情報機関に登録される - 延滞4ヵ月
債権回収会社によって督促が開始となる
自宅への訪問や会社などに電話がくるようになる
※ 債権回収会社とは、金融機関から委託されて借金や奨学金の回収を行う債権回収の専門会社のこと - 延滞9ヵ月
裁判所から『貸与金、利子、延滞金』の一括返済を求められる
年率5%の延滞金が元本すべてにかかってくる
とこのようなしくみになっています。
また、奨学金を貸している日本学生支援機構では、ここ数年、奨学金の回収の強化に力を入れているそうなんです。
なかなか早い段階でブラックリストに登録されてしまうという印象を受けましたが、皆さんはどのように思われたでしょうか?
もちろん、奨学金を借りるときにわかっていたと思いますし、きちんと返すつもりで借りたのでしょうが、思うような仕事に就けなかったり、先ほどのケースのように病気をして働けなくなってしまったというケースも少ないのではないかと思います。
また、つぎのようなケースもご紹介しておきましょう。
【裁判で和解したものの返済できない 30代 男性】
専門学校の通学費用として300万円の奨学金を借りた。
卒業後は非正規の雇用で手取りが十数万しかなかったため、返済が滞ってしまった。
延滞が続き裁判を起こされたが相手側とは和解したものの、その後も返済することができず、財産を差し押さえると言われている。
自分が破産すると、母親に請求されてしまうし、パートで働いているので母親まで破産することになってしまうのではないか。
これこそ、『破産の連鎖』になりかねないケースですね。
自己破産は最終手段でとお話しましたが、ここまで深刻になってしまうと、自己破産を考えてしまうのも無理はない気もしてしまいます。
返済に困ったらまずはなにをするべきか?
奨学金制度はとても素晴らしい制度ではありますが、返済が遅れると、比較的早い段階で延滞金が発生したり、信用情報機関に登録されてしまうことを考えると、対処法は?などという甘い言い方では済まない気がします。
そして、借りている本人だけでなく、家族をも巻き込んでしまいます。
そこで、返済に困ったときの解決策として、つぎの方法を検討してみてはどうでしょうか?
- 減額返済などの制度を利用する
- 債務を整理する
- 機関保証を利用する
結局、法的な手続きをするという方法も利用することになりかねないということになってしまうのですが、それも含め詳しくお話していきましょう。
減額返済などの制度を利用する
日本学生支援機構では、返済が困難な方のために3つの制度を設けています。
- 減額返還制度
- 返還期限猶予制度
- 返還免除
これらの制度を利用するためには、条件を満たした場合にはなりますが、返済に困ったときに利用できる制度です。
減額返還制度とは
減額返還制度とは、返済額を半分か3分の1に減らして返還できる制度です。
例えば、毎月2万円を返済してい返済額を半分を選んだのであれば、この制度を利用すると月々の返済額が1万円になります。

ただし、ここで気をつけたいのが、トータルの返済額は変わらないことです。
先ほどの例えでいいますと、月々2万円の返済×100回払いだったものが、減額返還制度を利用して月々の返済額は半分の1万円に減りますが、それが200回払いになるだけであって、返済額は200万で変わりません。
この制度の利用にあたっては、必要書類の提出や審査によって承認を受ける必要があります。
- 経済的困難な場合や失業、病気や災害などの場合に利用できる
- 月々の返済額を2分の1か3分の1に減らせる
- 返還期間は、2分の1は2倍、3分の1は3倍となる
- 1年ごと毎年手続きが必要となる
- 最長で15年(5年分の返済を15年かけて返済する)
- 延滞すると審査ができないので注意する
また、経済的な理由となる収入の基準についてですが、以下のようになります。
【減額返還制度の収入基準】
給与所得の場合:年間収入325万円以下
給与所得以外の所得がある場合:年間所得225万円以下
※ 被扶養者や親への援助がある場合、一定額を控除して収入基準以下になる場合申請が可能
所定の願出用紙に証明書などの添付が必要となります。
返還期限猶予制度とは
返還を先延ばしにする制度のことで、返済に困っている場合、いちばん使われている制度です。
この場合もトータルの返済額が減ることはありません。
- 経済的困難な場合、失業や病気、災害などの場合利用できる
(災害や病気、生活保護受給中などの一部の場合、その状態が継続している期間となる) - 月々の返済を先に延ばした分、返済完了が延長される
- 1年ごとの手続きで、最長で10年利用可能
この制度は、減額返還制度を利用していて返済が困難になった場合でも申請することができますし、途中で通常の返済に戻すこともできます。
また、収入などの基準については、下記の通りです。
【返還期限猶予制度の収入基準】
給与所得の場合:年間収入300万円以下
給与所得以外の所得のある場合:年間所得金額200万円以下
※ 被扶養者がいる場合や親への援助がある場合については、一定額を控除して収入基準以下になった場合に申請が可能となる
こちらも、所定の願出用紙に証明書などの添付が必要となります。
返還免除
奨学金の一部や全額が免除となる制度のこと。
奨学金を借りた本人が亡くなった場合や精神的、身体的な障害によって働けなくなった場合などに利用することができます。
債務を整理する
結局このような話になってしまうのは心苦しいのですが。。。返済に困り、先ほど挙げた制度も利用できないといった場合には、債務整理をして借金を減らすことを検討してみてはどうでしょうか?
債務整理には、これまでにお話してきた自己破産もそうですし、任意再生といった制度があります。
返済額の残額や今の収入などによって使える制度が異なるので、まずは、弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
このように、奨学金の返済が困難なときのために利用できる制度はあります。
ですが、返済が難しいときはそのまま放置はせず、なるべく早く問い合わせや手続きなどをするようにしてください。
少しでも遅れると遅れた分を支払ってからでないと利用できなかったり、わりと早い段階で延滞金が発生してしまうので、早めに対策を立てるようにしましょう。
機関保証を利用する
奨学金の保証人を人的保証でなく、機関保証を利用するという方法です。
機関保証については、次の項目で詳しくお話していきます。
奨学金は機関保証で借りるべき?
奨学金は『借金』ですので、借りるには保証人を立てなければなりません。
- 人的保証
- 機関保証
奨学金の保証人はこのどちらか2つになります。
どちらの保証制度にするかは、奨学金の申込みをする際に選ぶことができます。
人的保証は2人の保証人が必要
人的保証は、連帯保証人と保証人の2人を選ぶ必要があります。
連帯保証人は主に父母であったり、保証人の場合は、4親等内の親族で連帯保証人とは別生計の方を選ぶ必要があるため、叔父や叔母、または別に暮らしている祖父母などに頼むという方が多いようです。
返済ができないときは保証人へ
奨学金の返済に困り滞納してしまった場合や自己破産などをした場合、連帯保証人が支払い義務を負うことになります。
連帯保証人がダメなときは保証人へ。。。といったように、奨学金の返済ができなくなってしまうと、連帯保証人と保証人に迷惑がかかることになります。
機関保証は保証人は不要

機関保証とは、一定の保証料を払うことで、保証期間が連帯保証する制度のこと。
そのため、機関保証を利用していれば、連帯保証人や保証人は不要ということになります。
また、奨学金を申し込む際に選ぶことができますが、保証期間を希望する人を断るということはありません。
保証範囲と保証の期間については、次のようになっています。
- 範囲
元金
利息
延滞金(遅延損害金) - 期間
貸与中および変換中
1回目の保証料を受領した時から保証が開始される
機関保証なら返済できなくなっても平気?
奨学金の返済が滞った場合、保証期間が代わりに返還してくれます。
ですが、借りた本人に代わって返済した額を一括で支払うように請求されることになります。
機関保証は貸し主である日本学生支援機構(または奨学金を貸したところ)に対する保証はしますが、借り手に対する保証ではありませんので、このように一括請求されてしまいます。
保証料はいくら?どうやって払うの?
保証料は、貸与月額や貸与月数、返済期間や貸与利率などによっても異なります。
詳しい保証料については、日本学生支援機構のHPに掲載されていますが、ここではその保証料の一部を見てお話していきたいと思います。
- 区分:第二種奨学金
- 貸与月数:48ヵ月
- 貸与月額:100,000円
- 保証月額:5,372円
保証料は在学中(貸与中)に発生しますから、48ヵ月で257,856円ということになりますね。
保証料の支払いは、毎月の奨学金から差し引いて支払われます。
この場合実際に入金される金額は、毎月の奨学金10万円から月額保証料5,372円を引いた94,628円となります。
また、返済期間中に繰り上げ返済などした場合は、保証料の一部が戻る場合もあります。
人的保証から機関保証への変更はできる?できない?
人的保証から機関保証への変更は、場合によっては可能です。
- 連帯保証人、または保証人が死亡、やむを得ない理由により保証ができなくなった
- 返還方式を所得連動返還方式に変更する場合
※ 必要な保証料をまとめて支払う必要がある
このような場合には、人的保証から機関保証への変更が可能となります。
ですが、逆に機関保証から人的保証への変更はできません。
人的保証と機関保証、どっちがいいの?
費用の面で見れば、人的保証の方が安く済みますよね。
ですが、保証人を2人立てなければいけないことや、返済が困難になり自己破産となってしまうと保証人になっている親や親戚に迷惑がかかり、最悪、保証人も自己破産を選択するというケースも少なくありません。
実際に奨学金の返済に困っている方や自己破産をする方も増えているといいます。
一方で、機関保証は、早期返済ができれば一部の保証料が戻ってくる可能性があること、また、身内に保証人を頼む必要がないので、親や親族に迷惑をかけるリスクはそれほど高くないのではないでしょうか。
ただし、毎月の保証料を支払うこと、返済が滞った場合借りた本人に代わって返済してくれますが、その金額を一括で支払うように請求されます。
こういった場合のリスクもありますので、「機関保証なら大丈夫」とはっきり言うことはできませんが、人的保証と比べてみると、機関保証の方が比較的リスクは低いのではないかと感じられます。
奨学金の申込みの際には、どちらの保証にするか選ぶことができます。
どうしても決まらないときは、奨学金の相談窓口にて相談してみるのもいいでしょう。
返済に困ったとき、悩んだときには早めの対策を
奨学金は大変便利なありがたい制度ではありますが、仕事や収入がどうなるかわからない状態で申し込まなければなりませんから、不安もあるかと思います。
「返したいのに返せない」という方も多いと聞きますが、返済に困ったときの制度はあるのに、どうして返済に困る人や自己破産をする人が増えているのか、少し不思議な気もします。
返済に困ってもなにもせずにそのままにしておくと、どんどん滞納金が発生して負債が大きくなってしまいます。
ですから、負債が大きくなる前に、早めに対処することが大切になります。
奨学金の返済に困ったら、相談窓口に問い合わせてみる。
必要とあらば、法律の専門家に話を聞くのもいいかもしれません。
とにかく、早めの対処をするようにしてくださいね。