- ヤミ金からの借金中の結婚と離婚
- 離婚後の返済義務は?
- 解決方法はないの?
結婚して初めて、パートナーがヤミ金から借金している事実を知ったら、驚きますね。
パートナーに対する不信感も湧いて、離婚を考えてしまいます。

ましてや取立ての電話や、ヤミ金が自宅まで押しかけて来たら、離婚という選択肢を選ぶ場合が多いでしょう。
しかし、離婚はできるのでしょうか?
また、離婚しても借金を支払う義務があるのでしょうか?
そんな疑問についてお伝えしていきます。
ヤミ金から借金中の結婚と離婚

ヤミ金に借金があっても、結婚することは可能です。
これは正規の貸金業者であっても同様です。
しかし、本来であれば結婚前に弁護士などに依頼して、借金問題を清算しておくのが望ましいことです。
結婚前にパートナーになる相手へ、ヤミ金から借金がある事を打ち明けるのが正しい順序です。
隠して結婚したところで、取立てがあれば直ぐにパートナーにも知れることになります。
そうなった時に、相手からの信用が一気に無くなってしまいます。
特に詐欺罪という大袈裟なものではありませんが、知らないで結婚したパートナーは、騙されたような気持になってしまいます。
ヤミ金の取立ての苦しみと、今後の生活にも不安が出て来ます。
夫婦に連帯責任はある?

例え夫婦でも、連帯保証人や保証人になっていなければ、借金を支払う義務はありません。
結婚したら、パートナーの借金を背負うのか不安になると思いますが、連帯保証人や保証人になっていなければ一切払う必要はありません。
しかもパートナーの結婚前の借金であれば当然のことです。
しかし、ヤミ金はルールを無視した違法な業者ですから、パートナーへも借金の支払いを求めるでしょう。
そうなると夫婦仲も悪くなり、離婚を検討する人も少なくありません。
パートナーの借金を理由とした離婚

離婚を決意した場合に、パートナーに離婚の同意がある場合と同意がない場合の、2通りが考えられます。
①同意がある場合
法律では相互に同意があれば、理由はどうにせよ協議離婚が認められています。
②同意がない場合
パートナーの同意が求められない場合は、裁判所の離婚調停を申し立てます。
第三者を介入して話し合いの場を設けます。
しかし、それでも決着がつかない場合は、離婚裁判へと進みます。
日本の法律では、民法の770条1項定める離婚事由に該当している事が必要になります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
- 婚姻を継続し難い重大な事由
関連するとすれば、借金は5つの離婚事由の中の、「婚姻を継続し難い重大な事由」になります。
しかし、ただ借金があるだけでは「婚姻を継続し難い重大な事由」には該当しません。
その借金によって、婚姻関係が破綻した状態に陥っていることが必要になります。
離婚後の返済義務は?

結論から言うと、離婚してもパートナーのヤミ金の返済義務はありません。
パートナーのヤミ金からの借金を知らずに結婚してしまい、信頼も持てなくなりました。
次第に夫婦仲も悪くなり夫婦関係が破綻した場合は、離婚もやむを得ない選択になります。
先程もお伝えしたように、例えパートナーがヤミ金から借金をしていても、連帯保証人や保証人になっていなければ支払う義務はありません。
では、どのような場合に支払う義務があるのでしょうか?
夫婦が離婚しても支払う義務がある場合
- 連帯保証人・保証人になっている
- 連帯債務者になっている
- 借金が日常家事債務である
パートナーの連帯保証人・保証人になっていれば、当然支払いの義務があります。
また、例えばマイホームを建てた場合に、住宅ローンを組んでいたとします。
その借金が夫と妻の連帯債務になっていれば、離婚後も各々支払いの義務があります。
更に、夫婦の離婚には財産分与というものがあります。
これは、結婚生活の中で夫婦が共に築いた財産は、2人で分けるということです。
どのようなものが財産分与の対象になるのでしょうか?
財産分与には大きく分けて3つの種類があります。
- 清算的財産分与 : 夫婦が婚姻中に形成した財産の清算
- 扶養的財産分与 : 離婚により困窮する(元)配偶者の扶養
- 慰謝料的財産分与 : 傷つけたことに対する慰謝料
現在問題となるのは、一番最初の清算的財産分与です。
これは上の説明にもあるように、夫婦が婚姻中に形成した財産です。
例えば以下のようなものが該当します。
- 現金・預貯金・株券・国債(但し特有財産は含まず)
- 退職金・年金・貯蓄型生命保険
- 家・土地・自動車
- 日常家事債務
そうです!財産分与には、正の財産も負の財産もあるということになります。
では、具体的に日常家事債務の中身を確認していきましょう。
民法761条
「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。」
これは、夫婦の一方が日常生活に必要なものを購入した場合は、もう一方にも支払う責任があると言うものです。
例えば食費や水道光熱費、医療費、家具、家電、子供に対する教育費や養育費です。
高級な腕時計やブランドバックなどは対象になりません。
現在の場合は、パートナーが婚姻前にした借金であること。更に日常家事債務ではないので、財産分与には該当せず、もう一方のパートナーは離婚に際して支払う必要がありません。
離婚を考える前の解決方法

もし、パートナーがヤミ金から借金していても、婚姻生活を続けていきたいと考えているなら、解決方法があります。
ヤミ金は元々が違法な金融業者で、高利の貸付をしています。
これは、貸金業法(第42条)で定める、年率109.5%を超える金利は契約自体が無効とされています。
ヤミ金の場合はトイチ(10日に1割)やトサン(10日に3割)といった、法定利率を遥かに超える暴利を請求しています。
違法性のある契約なので支払う必要がなくなるからです。
だからといって、ヤミ金は簡単に交渉には応じません。
ヤミ金対応に強い弁護士事務所に相談することで、初めて道が開けてきます。
できれば離婚したくないと考えるのであれば、ヤミ金問題に特化した弁護士事務所に相談することをオススメします。
こちらのYOUTUBE動画でも、離婚に発展したヤミ金問題について取り上げられています。
参考になれば幸いです。