- 夜逃げで失うもの
- 夜逃げした後の住民票
- 住民票を取得するとバレる?
辛い取立てから逃げるために夜逃げの道を選んだとしたら、住民票はどうなるのでしょうか?
夜逃げで失うものは、考えている以上に多いのも事実です。
夜逃げ後の住民票に焦点を当ててお伝えします。
夜逃げで失うもの
夜逃げをする理由は、殆どが借金です。
法人であれば倒産でしょうか。
警察庁生活安全局生活安全企画課が発表した、平成28年度の1年間の行方不明者は84,850人でした。
この数字は、あくまで捜索願いの届出を受理した人数になりますから、実際にはそれ以上の行方不明者がいると推測されます。
男女比では男性が58,664人、女性が30,186人と、男性は女性の約1.5倍強となっています。
この内で夜逃げをした人は、どれ位いるのでしょうか?
夜逃げにも着の身着のまま逃げる人や、夜逃げ屋などを利用して最低限の荷物を持って逃げる人もいます。
夜逃げ屋自体は、国から営業許可をもらった運送会社であれば違法性はありません。
夜逃げで生活が一変
夜逃げは人生の再出発ではありません。
借金取りに脅されないだけで、虚しい日々の連続です。
- 孤独である
- 人目を避けた生活
- 貧困
- まともな仕事に就けない
どこから居場所がバレるか分からないため、親や兄弟・親戚とも縁を切る覚悟が必要です。
同様に友人との連絡も危険なため、いくら信頼していても我慢が必要になります。
当然、居場所を知られないためにも、ひっそりとした生活で、人目に付かないようにしなければなりません。
正規社員など夢のまた夢で、日雇いの仕事が見付かればまだマシな方です。
常に貧困との闘いになるでしょう。
夜逃げは、これまでの生活を全て捨てて、ただ人目を気にして生きるだけに過ぎません。
夜逃げした後の住民票

夜逃げをして困るものの1つに、住民票があります。
住民票を移すことは、居所がバレてしまう可能性が高くなります。
市区町村役場は、住所地に実際に住んでいないと判断した場合、住民票を職権消除することができます。
借金が払えなくなった人の多くは、税金関係も滞納している場合が多いでしょう。
何度か催促状を送っても支払う様子がない。
アパートの管理人から住んでいない旨の連絡。
親族からの行方不明の連絡などで、実態調査を行うことになります。
住民基本台帳法(調査)第34条
市町村長は、定期に、第7条及び第30条の45の規定により記載をすべきものとされる事項について調査をするものとする。
2.市町村長は、前項に定める場合のほか、必要があると認めるときは、いつでも第7条及び第30条の45の規定により記載をすべきものとされる事項について調査をすることができる。
3.市町村長は、前2項の調査に当たり、必要があると認めるときは、当該職員をして、関係人に対し、質問をさせ、又は文書の提示を求めさせることができる。
4.当該職員は、前項の規定により質問をし、又は文書の提示を求める場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
引用:住民基本台帳法
最もこのような調査対象になるまでには、相当の期間を経過しています。
職権消除されなくても、住民票を移動しないと生活していく上で、デメリットが生じます。
主に次のことが挙げられます。
- 国民健康保険が使えない
- 正規の就職が出来ない
- 運転免許証の更新
- 各種証明書類が取得できない
- 子供がいる場合は学校問題
夜逃げをする場合は、これまで勤務していた仕事を退職しているでしょうから、健康保険が使えなくなります。
辛うじて国民健康保険に加入していたとしても、更新が出来ないでしょう。
同様に運転免許証も更新が難しくなります。
正規の仕事を探しても、証明書類を提出できなくては、不審に思われてしまいます。
郵送申請できる証明書類もありますが、送付先は住民票の住所が基本です。そうなると受け取るのは難しくなるでしょう。
究極的な考え・こんな方法もアリ!
証明書類には、有効期間が定められています。
とは言っても、法的に決まった期限が存在する訳ではありません。
一部の申請書類に関しては、期限を定めているものもあります。
余りに取得時期が経過していると、状況が変わっている可能性があるためです。
例えば次のようなものです。
- 運転免許証の申請:6ヶ月以内
- パスポート申請:6ヶ月以内
- 不動産登記関係:3ヶ月
その他にも様々ありますが、発行から3ヶ月や6ヶ月が一般的なようです。
そこで、夜逃げを決行する前日に住民票を数枚取得しておくことで、新たな住居契約や仕事を探す時にも役に立つでしょう。
住民票を取得するとバレる?

勝手に他人の住民票を取得できない!と思っていませんか?
個人情報が煩い昨今なのに、本人以外でも取得できる場合があります。
- 弁護士などの士業が取得
- 国や地方公共団体が取得
- 調停や訴訟など添付が必要な場合(国や地方公共団体に提出)
- 権利の行使や義務の履行
消費者金融などの債権者は、権利の行使や義務の履行に該当します。
しかし、権利があって弁済期が到来している事が原則です。
しかも、それを確認できる疎明資料が必須となります。
(本人等以外の者の申出による住民票の写し等の交付)第12条の3
1.市町村長は、前2条の規定によるもののほか、当該市町村が備える住民基本台帳について、次に掲げる者から、住民票の写しで基礎証明事項(第7条第1号から第3号まで及び第6号から第8号までに掲げる事項をいう。以下この項及び第7項において同じ。)のみが表示されたもの又は住民票記載事項証明書で基礎証明事項に関するものが必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、当該申出をする者に当該住民票の写し又は住民票記載事項証明書を交付することができる。
- 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者
- 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある者
- 前2号に掲げる者のほか、住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者
引用:住民基本台帳法(抜粋)
このように、第三者でも住民票が取得できてしまいます。
よって、もし住民票を移動すれば、たちまち居所がバレてしまうことになります。
夜逃げに関する内容について
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