- 配偶者の借金の返済義務について
- 離婚すれば取り立ては免れる?
- 住宅ローンは大きな問題
配偶者に借金がある場合、夫や妻は支払う義務があるのでしょうか?
また、離婚したら取立てはなくなるのか?
そんな疑問についてお伝えしていきます。
配偶者の借金の返済義務について

結論から言うと返済義務はありません。
どういったことか詳しく確認してみましょう。
配偶者(夫・妻)の借金は、例え夫婦であっても支払う義務はありません。
借金した債務者個人の問題になります。
これは、例えば親子2世帯で同居している両親でも同じことで、支払う義務はありません。
兄弟などでも全く同様です。
但し、これから説明する2つの事については、支払い義務が生じてしまいます。
- 保証人・連帯保証人になっている場合
- 借金した理由が「日常家事債務」である場合
保証人・連帯保証人になっている場合
借金した配偶者の保証人や連帯保証人になっていれば、当然債務者同様に支払い義務が発生します。
保証人と連帯保証人の違いは、案外知っているようで知らない方が多いと思います。
どちらも人的担保になりますが、次のような違いがあります。
- 保証人・・・主債務者が履行出来なくなった際に代わりに支払う
- 連帯保証人・・・主債務者と同様に支払う義務がある
更に詳しく説明すると、保証人には3つの権利があります。
【催告の抗弁権(民法第452条)】
債権者が保証人に、支払いの履行を請求してきたとき、先に主債務者に請求することを抗弁できる権利。
【検索の抗弁権(民法第453条)】
債権者から請求を受けた際に、主債務者には財産があることを告げて、請求を拒否できる権利。
【分別の利益(民法第456条)】
保証人が複数いる場合は、人数で均等割りした金額が上限になること。
以上のように、保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の3つの権利がありますが、連帯保証人にはそれらが認められていないことになります。

近年は保証人は少なくなり、殆どが連帯保証人になりつつあります。
保証人も連帯保証人も大きな責任が伴いますので、注意が必要です。
借金した理由が「日常家事債務」である場合
「日常家事債務」とは、夫婦が共同生活を送る中で、必要な物を購入した債務のことです。
例えば住宅ローン、食費、光熱費、家電・家具、日用品、自動車、医療費、教育費などが代表的になります。
民法では次のように定められています。
【民法761条】日常の家事に関する債務の連帯責任
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
借金の原因が「日常家事債務」である場合は、民法761条で定められた通り、支払い義務が生じてしまいます。
但し、分相応な貴金属や洋服、高級車など高価すぎる物は日常家事債務とは認められません。
「日常家事債務」は通常の夫婦に関するもので、破綻状態の夫婦には存在しないことが多いでしょう。
当然ですが、個人の娯楽や趣味、浪費は「日常家事債務」には当たりません。
ですから、それらが原因による借金は、配偶者でも支払い義務はありません。
余談になりますが、そのような浪費癖のある人には、日本貸金業協会の「貸付自粛制度」が有効です。
これは、本人や法定代理人、配偶者や二親等以内の親族が申込みできるもので、一定期間、金銭貸付による債務者を自粛対象者とするものです。
申込みから約5年間有効であり、3ヶ月の経過でいつでも撤回ができます。
本人や家族で不安がある場合は、このような手続きもあります。
離婚すれば取り立ては免れる?

離婚によって、配偶者の借金の取立てを免れるかですが、先程お伝えしたように、配偶者の保証人や連帯保証人になっていなければ、借金を支払う義務はありません。
逆に言えば、保証人や連帯保証人になっていれば、例え離婚したとしても支払う義務があり、元配偶者が弁済しなければ、取立てされる可能性が出て来ます。
また、借金の原因が「日常家事債務」であったとしたら、法的に厳密に言えば支払う義務があります。
しかし、実際は債権者にしたら何のための借金がわからないのが通常です。
ですから、元配偶者に請求が来ても、「もう離婚したので支払う義務はない!」と突っぱねても構わないでしょう。
何度も繰り返しますが、保証人や連帯保証人になっていれば、離婚後も借金を免れることは出来ません。
注意しなければならないのは、住宅ローンです。
住宅ローンは大きな問題
夫婦が離婚する際に、住宅ローンをどうするか、という問題が起こると思います。
住宅は財産分与の対象であり、当然その支払い債務も財産分与の対象となります。
それまで住んでいた住宅は、3つのパターンが考えられると思います。
- 既に完済している
- 弁済中だか査定価格が残債務を上回っている(アンダーローン)
- 売却しても残債務が残る(オーバーローン)
完済している場合は、夫婦間で自宅をどうするか話し合いで決めれば問題がありません。
弁済中でも査定価格が残債務を上回る場合(アンダーローン)も、売却して残りの債務を支払って、残金を等分する方法や、一方がそのまま住み続けるなど、話し合いによって決めることが可能です。
問題なのはオーバーローンの場合です。
住宅ローンの場合は、共有名義や連帯保証人・連帯債務者になっていることが多く、離婚後も支払い義務が生じてしまいます。
売却したとしても、残債務が残りそれを支払っていくことになります。
住宅ローンの場合、銀行はなかなか名義変更を承諾しない現状があります。
住宅の土地・建物が担保になっているため、完済まではリクスを考慮して銀行は承諾してくれない場合が多くなります。
交渉するなど、銀行との話し合いも必要になります。
夫婦が離婚する際は、住宅ローンに関しては慎重に検討する必要性があります。
さいごに
今回のブログ記事では 配偶者の借金に対する返済・支払い義務についてお伝えしてきました。
例え離婚しても請求権が消滅しない場合があります。

夫婦間で解決しない時は、専門の法律家に相談するなどして、最良の解決策を見出すことが重要です。
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