- 結婚前(内縁)でも財産分与可能!
- 内縁関係の相手が死亡したとき
- 調停の弁護士費用は?
内縁関係でも、婚姻していた場合と同様に財産分与が認められています。
そんな気になる内縁関係の財産分与について、ご紹介していきます。
また、弁護士費用の相場についても確認してみましょう。
結婚前(内縁)でも財産分与可能!

婚姻関係にないと、財産分与が受けられないと思っていませんか?
実は内縁関係でも法的保護があり、財産分与が可能です。
内縁関係とは?
婚姻届けを提出していない男女、いわゆる事実婚を言います。
同居により家計を同一にしていることや、子供の有無も考慮されます。
内縁関係が認められると、法律婚に準じた保護が与えられます。
婚姻費用の分担や、同居、協力及び扶助の義務などの法律が適用されます。
(婚姻費用の分担)第760条
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
(同居、協力及び扶助の義務)第752条
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
引用:民法
また、特別法で法律上の夫婦と同様にみなされ、労働災害の遺族補償や遺族補償年金の受領者、退職手当を受ける者として認められています。
内縁関係解除の財産分与
内縁関係の背景には、様々な事情があります。
届を出さない(出せない)夫婦間でも、内縁解消の際は婚姻関係にある場合と同様に財産分与が行われます。
同居期間中に協力して築いた財産は、財産分与の対象となるからです。
もし2人で話し合いがまとまらない時は、内縁関係でも家裁判所に調停を申立てることが可能です。
内縁関係の相手が死亡したとき
先程もお伝えしたように、内縁関係を解消する場合は財産分与が可能です。
しかし、相手が死去した場合は相続権が無いので少々厄介になります。
当然法律でも内縁関係の相続については保護していません。
死去すると有していた不動産や預貯金などは、相続財産という扱いになります。
通常はそれらを法定相続人が法律に則り承継します。
例えば内縁関係が親族公認である場合は、余り大きなトラブルもないでしょう。
しかし、反対もしくは強行におこなっていた際は、場合によっては住んでいた家を出て行くよう強制されたり、何ひとつ手元に残らない可能性も出て来ます。
実際に婚姻関係にある妻がいて、何十年も家を出たままで一緒に暮らしていないとしても、相続権は妻にしかありません。
(配偶者の相続権)第890条
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
引用:民法
内縁の妻(夫)へ財産を残すには?
内縁関係の相手へ財産を残す方法があります。
主に次のような方法が有効です。
- 生前贈与
- 死因贈与
- 遺言書の作成
生前贈与
生前のうちに、内縁の妻や夫に財産を譲渡する方法があります。
しかし贈与は贈与税がかかりますので、預金であれば基礎控除のある110万円までを数年に亘って譲渡すれば非課税となります。
ただ、不動産に関しては贈与税を把握の上、譲渡するしか方法はありません。
死因贈与
贈与する者と贈与を受ける者の間で、「死亡した時に贈与する」という贈与契約を締結することです。
しかし、死因贈与は口約束でも成立するとされています。
また、死因贈与は書面の有無にかかわらず撤回できます。
死因贈与のメリットは、遺贈と同じ効果が期待できる点です。
故に税金面でも贈与税ではなく、相続による財産の取得として相続税が適用されます。
(死因贈与)第554条
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
引用:民法
死因贈与には負担付き死因贈与というものもあります。
これは、贈与を与える代償として生活の面倒を見るなど、義務や負担を課す贈与契約です。
遺言書の作成
遺言書は、多くの人に広く認知されている方法です。
自分が死亡した時に、遺産を誰にどのように残すかを指定するものです。
内縁関係の場合は非常に有効方法です。
遺言書は民法第967条で定める通り、自筆証書、公正証書、秘密証書によってすると定められています。
争いを回避するためにも、公正証書遺言がお勧めです。
(公正証書遺言)第969条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
- 証人二人以上の立会いがあること。
- 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
- 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
- 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
- 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
引用:民法
遺贈(遺言により贈与を受ける者)には、次のような種類があります。
- 包括遺贈
- 特定遺贈
- 負担付遺贈
包括遺贈は財産の特定をせず、相続財産全体または一部の割合を遺贈する場合。
包括遺贈の場合、遺産分割協議に参加しなければならないデメリットがあります。
特定遺贈は特定の財産を指定して遺贈する場合。
そして負担付遺贈はある義務を負担するよう求め、受遺者は履行しなければならない場合。
例をあげると、「遺贈する代わりに墓守を継承していく」などです。
また、民法では遺留分減殺請求というものが認められています。
これは、法定相続人が遺言によって著しく法定相続分を減少させられた場合に、裁判所へ提起することができます。
遺留分請求が認められているのは、法定相続人に「子」「直系尊属」「配偶者」だけになります。
(遺留分の帰属及びその割合)第1028条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
- 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
- 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1
引用:民法
調停の弁護士費用は?

先程、内縁関係でも、婚姻していた場合と同様に財産分与が認められ、調停を申立てることができる旨をお伝えしました。
では、調停に弁護士を依頼した場合、費用はどれ位かかるのでしょうか?
実は、弁護士の報酬に関しての規定はありません。
個々の事務所が自由に決めて良いことになっています。
2004年3月31日までは、報酬の基準目安がありました。
しかし撤廃されたことにより、その後は自由報酬がなされるようになりました。
日弁連(日本弁護士連合会)が、全国の弁護士に対し、報酬についてのアンケートをした結果があります。
- 法律相談:5,000円~10,000円
- 離婚調停:着手金20万円~30万円・報酬金20万円~30万円
- 印紙・郵券・手数料は実費
財産分与は離婚または内縁の同居解消によって発生しますので、離婚調停を基準としました。
あくまで目安ですから、それ以上に高い報酬設定の法律事務所もありますし、逆に安い事務所もあります。
報酬に関しては、依頼前に(法律相談の際)よく金額の確認をしておきましょう。
金額を考慮の上、依頼するかどうか決めることをお勧めします。