- 銀行口座が凍結される理由は?
- 解除にかかる期間は?
銀行口座が凍結されるのはどんな時でしょうか?
凍結されたことで起こる不便な状況や事前の対策、また解除の期間などについてもお伝えして行きます。
Contents
銀行口座が凍結される理由は?

一般的に銀行口座が凍結されるのは、次のような場合になります。
- 死亡による凍結
- 債務整理をした場合の凍結
- 犯罪が疑われる場合の凍結
死亡による凍結
口座名義人の死亡により、金融機関は相続でのトラブルがないように、一旦口座を凍結してしまいます。
金融機関は、新聞広告や親族からの申告によって口座名義人の死亡を知ると、直ちに口座を凍結してしまいます。
金融機関は一定の相続関係書類の提出後に、口座の凍結を解除します。必要書類は各金融機関の定めにより多少は違っていますが、基本的には次のようなものになります。
- 相続届(遺産分割協議書)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 法定相続人全員の印鑑証明
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の通帳・印鑑
相続届(遺産分割協議書)
「相続届」は、金融機関によって指定の用紙がある場合や、一般的な「遺産分割協議書」でも問題のない金融機関もあります。
内容的にはどちらも同じで、①被相続人についての明記、②被相続人の財産目録、③相続内容の明記、④法定相続人全員の署名・捺印(この場合は実印になります)。
例えば 誰が預金の内○○円を相続する、などのように明確に記載されます。
金融機関によっては個別に振り込んでくれる場合もあれば、相続人内で代表者を決めて、一括して振り込む場合もあります。いずれにしても、相続届には相続の内容が全て網羅されています。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
出生から死亡までの戸籍謄本を揃えるのは、正当な相続人を確認するためです。
例えば離婚していて前夫や前妻との間に子供がいたり、稀ではありますが、認知していた隠し子がいる場合があるからです。
調査することにより、正式な法定相続人を確定させます。
法定相続人全員の印鑑証明と戸籍謄本
印鑑証明は、相続届(遺産分割協議書)に押印した実印と相違ないか確認されます。
戸籍謄本は被相続人との関連を裏付けし、正当な法定相続人であるかを確認するためです。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の中に、重複するものがあれば、省いても構わないでしょう。
遺言書や調停調書・審判書がある場合
遺言書が存在する際は、公正証書になっていれば遺言執行者に手続きを一任します。
しかし、公正証書になっていない場合は、家庭裁判所で「検認」をうけなければなりません。
自分たちで開封せずに、相続人が立会いのもとで、家庭裁判所が開封します。
家庭裁判所は「検認」後に遺言検認調書などを発行してくれます。また、調停調書や審判書がある場合は、謄本が必要になります。
債務整理をした場合の凍結
借金による多重債務などで債務整理をした場合、その中に銀行系カードローンがあると、一時的に銀行口座を凍結されてしまいます。
銀行は債務額から預金残高を相殺した後、保証会社へ不足額を請求します。
銀行では殆どの場合、リスクを避けるために保証契約しているからです。
その後、債権者は銀行から保証会社へと移ります。時期にもよりますが、それらの手続きは約1ヶ月~3ヶ月かかります。
その間口座が使用できなくなるので、 次の事柄について事前の準備が必要になります。 先程もお伝えしたように、口座残金は相殺されてしまいますので、債務整理に着手する前に出金しておきましょう。 担当する弁護士や司法書士が受任通知を銀行に送付してしまうと、即日口座が凍結されます。 弁護士や司法書士とよく相談して、事前準備が終了してから、発送してもらうようにしましょう。 何らかの犯罪の疑いや、口座を悪用された場合も凍結されてしまいます。 銀行が凍結するのは次の場合が考えられます。 1.警察機関、弁護士や司法書士、公的機関からの通報 2.被害者からの申し出 3.犯罪に利用されている可能性がある場合 4.本人確認書類の偽造や変造 1.と4.は直ちに口座の凍結が実行されますが、2.と3.は口座名義人に確認を取ったり、取引状況を参照した上で凍結されます。 この強制的な凍結は、2008年に制定された「振り込め詐欺救済法」に基づくものです。犯罪が疑われる場合の凍結
解除にかかる期間は?

3つの凍結される理由についてお話ししてきましたが、
次はそれぞれが解除される期間についてお伝えしていきます。
死亡による凍結解除
先程もお伝えしたように、法定相続人全員の協力によって、書類の署名・捺印や戸籍謄本・印鑑証明などを揃えることで解除できます。
但し、次の場合は長期化する可能性があります。
- 相続人間での争いがある
- 相続人の中に行方不明者がいる
相続内容に納得せず、全員の合意が得られなければ凍結は解除されません。相続の場合、1人でも合意が得られない人がいれば、成り立ちません。
また、行方不明などで連絡の取れない相続人がいても、同様に成り立ちません。このような場合は、解除まで長期間を有することがあります。
債務整理をした場合の凍結解除
債務整理の場合は、保証会社が代位弁済するまでの期間であり、手続き後は自動的に解除されます。比較的短い期間のため、直ぐに元の状態に戻ります。
但し、先程もお伝えしたように、事前の準備が必要になるので、債務整理を依頼した弁護士や司法書士との打ち合わせが大切になります。
犯罪が疑われる場合の凍結解除
犯罪に拘る凍結の場合は、自身で解除することは非常に困難になります。銀行は凍結と同時に、「凍結口座名義人リスト」というものに登録します。
このリストは全行共通になっているため、どの金融機関も閲覧できるようになっています。それによって、該当口座以外の他行の口座も、いずれ凍結されることになってしまいます。
名義人の全ての口座が凍結されてしまう、恐ろしい結果になります。そうならない為にも、口座が凍結された時点で、直ちに弁護士や司法書士の法律家に相談しましょう。早期の対処をオススメします。