- 夜逃げの追跡と住民票・マイナンバー
- 住民票で転居先を知る!
- 住民票を移動しないリスク
- 時効を待つには?
借金が払えなくなって夜逃げをすると、どんな追跡がされるのでしょうか?
マイナンバー・住民票からもバレてしまうのか?詳しくご説明していきます。
夜逃げの追跡と住民票・マイナンバー

厳しい取立てが連日続き、現実逃避したくなって夜逃げをしたら、実際に逃げ切れるものなのでしょうか?
夜逃げ自体は、法的にも違法性がありません。また、何らかの事件が起きなければ警察も動かないでしょう。
しかし逃げる事は一時的な逃避で、何の解決にもなりません。逃げている間にも借金は利息が増え続けています。
夜逃げは多くの人々に迷惑をかけている事を、忘れてはなりません。それでも夜逃げをした場合に、居所がバレる可能性があるのが「住民票」です。
大抵の場合は住民票を移動したために、居所を知られてしまいます。
住民票で転居先を知る!
日本国民は住民票を基礎として、各市区町村役場で住民基本台帳により管理されています。
住民基本台帳の主な記載事項は次の通りです。
- 氏名
- 出生の年月日
- 男女の別
- 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
- 戸籍の表示(=本籍及び筆頭者)。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨
- 住民となった年月日
- 住所及びその市町村の区域内において新たに住所を変更した者については、その住所を定めた年月日
- 個人番号(マイナンバー)
- 新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日
- 選挙人名簿に登録された者については、その旨
- 住民票コード
- 国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険・国民年金・児童手当・米穀配給に関する事項
- 政令で定める事項
これらは住民基本台帳法第7条で規定されている事項になります。通常「住民票の写し」として交付される場合は、これらのある一部分になります。
世帯主の氏名・続柄・本籍・筆頭者・マイナンバー・備考等は省略されることになります。
しかし、通常の住民票には転出先が記載されるため、住民票を見れば引っ越し先が分かってしまいます。他にも住所の移転履歴を知る方法として、戸籍の附票を確認する方法もあります。
また、各市区町村役場によっても違いますが、住民票の場合は数年の割合で「改正」が行われます。
修正事項が多い時や、住民票の様式や規格等を変更する場合に実施されます。
改正により知りたい内容が消除されたり、「除票」の取得が出来なくなる場合があります。
「除票」とは?
消除された住民票で、死亡や市町村を転出したときに、除かれた住民票を言います。
夜逃げした人が世帯主で、その住民票の世帯に誰もいなくなれば、住民票ではなく「除票」になります。実はこの住民票は、従来誰でも請求することができるとされていました。
しかし、2008年に個人情報保護法施行の影響を受けて、自己又は自己と同一世帯に属する者となりました。
世帯の者しか申請できないなら、住民票で居所がバレることはないのでは?と思いますね。
実は例外があります。
- 国・地方公共団体の機関による請求
- 特定事務受任者(弁護士や司法書士など)が職務上必要な場合の請求
- 自己の権利行使や義務履行に必要なときの請求
これらについては認められています。
よって、借金などは権利行使に該当し、住民票の請求が認められてしまうからです。当然に金融業者は、権利を疎明する書類の提示が必要になります。
住民票を移動しないリスク
移転先がバレる可能性が高いなら、移動しなければいいと思いますよね。
しかし、住民票を移動しないと、様々なリスクが発生します。
- 各種証明書類が取得できない
- 郵便物の受取り
- 選挙権(投票のハガキの受領ができない)
- 免許証の更新
- 国民健康保険の加入
- 子供の学校(転校手続き)
- 就職先への届出
1人で夜逃げする場合と違い、一番気に掛ける必要があるのは、子供がいるときです。
転校や転入、環境が変わることで子供が精神的なプレッシャーにならないように、注意が必要になります。
国民健康保険がないのも非常にリスクが高いことです。郵便物の転送は住民票に関係なくできますが、郵便物が差出人に戻ることで、もう住所地に住んでいないことを証明できるでしょう。
その他住民票を必要とする場面を想定して、夜逃げする前日にでも多めに取得しておくことをお勧めします。
時効を待つには?
夜逃げした後に気になるのは時効でしょう。借金が消滅時効になったら、住民票を移したいと思うのが普通です。
貸金業者など商人からの借金は、弁済期または最後の返済から、5年の経過で消滅時効が成立します(商法522条)。個人からの借金は10年の経過になります(民法167条)。
銀行は5年ですが、住宅金融支援機構や信用金庫は商人とはみなされないとし、10年となりますので注意が必要です。
気を付ける必要があるのが、時効の中断です。次のような裁判上の請求により中断します。
- 裁判上の請求(民法149条)
- 支払督促の申立(民法150条)
- 和解及び調停の申立(民法151条)
判決を取られた場合は、通常5年の時効期間が、10年に延びてしまいます。知らない間に支払催促の申立てをされて、時効が延びていたなんて事も有り得ます。
また、催告(民法153条)によっても時効が中断します。内容証明郵便によることが必要になりますが、住所地が不明であれば少々難しいでしょう。
また、差押え・仮差押え又は仮処分をされた時も時効が中断します。不動産の差し押さえなどが一般的ですが、銀行口座を差し押さえされる事もあるので、夜逃げ前は完全にゼロにすることが重要です。
注意しなければならないのは、債務の承認です。夜逃げ後は債権者と電話で会話することもなくなりますが、もしも話す場面があっても、債務を承認するような事を絶対に言わないことです。
「今は払えません」「もう少し待って下さい」など、借金があることを認めると、その時点から再度5年が経過しないと時効にはなりません。これまでお伝えしたのが、時効の中断が起こりうる理由です。
自分では消滅時効に掛かっていると思っても、知らない間に時効が中断している場合があるのを、忘れないことです。
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