- 加害者側の弁護士
- 被害者も弁護士に依頼しないと不利?
- 弁護士費用特約を活用!
精神的にも肉体的にも辛い交通事故。
1日も早く心と体を回復させて、心身をリセットしたいものです。
しかし、その前に示談交渉が待っています。
本来なら被害者だから優位に働くはずなのに、相手が弁護士を依頼したら?
そんな時の対処法をお伝えしていきます。
加害者側の弁護士

加害者が依頼する交通事故の弁護士と言っても、様々な場合が想定されます。
- 刑事事件の弁護士
- 民事事件の弁護士
- 保険会社の顧問弁護士
刑事事件の弁護士
刑事事件の弁護士は、交通事故を起こしてしまい重い刑罰に処される可能性がある場合に、刑を軽くするための弁護を目的としています。
人身事故、飲酒運転、薬物、スピード違反、信号無視など、過失致死傷罪や危険運転致死傷罪といった刑罰に処され、前科がついてしまうかが重要なポイントになります。
一般的に加害者は検察庁からの呼び出しがあり、取り調べが行われます。
その結果、起訴・不起訴が決定します。
弁護士の中には得意・不得意、または事務所のポリシーがあり、刑事事件を扱わない弁護士もいます。
その逆に刑事事件だけを扱う弁護士もいるのは確かです。
当然に、オールマイティに受任する弁護士事務所もあります。
民事事件の弁護士
民事事件の弁護士は、被害者からの損害賠償請求を、少しでも低くするために動いてくれます。
特に被害者・加害者の両者に過失があり、加害者の方が過失割合が高くなりそうな場合は、条件的にも不利になってしまいます。
そこで、弁護士に依頼することにより、不利な示談を出来るだけ回避してくれます。
また、民事的にも刑事的にも、裁判にならないように阻止する役割があります。
特に早期に示談に持っていくことで、刑事事件の起訴を防ぎます。
保険会社の顧問弁護士
加害者が任意保険に加入していれば、一番に考えられるのは保険会社の顧問弁護士です。
顧問弁護士は保険会社の利益のために動きますから、示談金を出来るだけ少なくする努力をします。
被害者も弁護士に依頼しないと不利?

先ほどは、加害者が弁護士を依頼する3つのパターンをご紹介しました。
それを受けて、被害者はどう行動したら良いか考えていきましょう。
被害者としては、納得のいく示談金を受け取りたいと考えるでしょう。
交通事故の解決方法の9割が示談と言われており、残りの1割は調停や訴訟になります。
ひと口に示談金と言っても、実は様々なお金が合計されたものになります。
- 修理費:車両の修理に要した金額
- 治療費:治療に要した金額
- 通院費:通院に要した金額
- 休業損害:会社を休んだ損害
- 慰謝料:交通事故による精神的苦痛に対する金額
- 後遺障害慰謝料:後遺障害認定された時のみ慰謝料
- 後遺障害逸失利益:後遺障害がなければ得られた収入
これらを話し合いにより、総合的に示談金として決めていきます。
更に大きな問題になるのが過失割合です。
よく聞く〇〇対〇〇というものです。
被害者・加害者どちらにも過失がある場合は、それぞれが加入している保険会社が示談交渉します。
しかし、停車中に追突されたなど、過失割合が10対0である時は、被害者本人と加害者の保険会社が、示談交渉をしなければなりません。
それは、弁護士法第72条 の皮弁行為に該当してしまうからです。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用:弁護士法
さて、ここで①過失が相互にある場合と、②加害者だけに過失がある場合で、加害者が弁護士を依頼したらどうなるか確認していきましょう。
交渉する相手は次のようになります。
①被害者の保険会社と加害者の弁護士
②被害者と加害者の弁護士
被害者であるのに、非常に不利な状況になってしまいます。
被害者の保険会社であっても、法の専門家である弁護士が相手では、希望通りの示談が成立しない可能性があります。
更に全くの素人である被害者では、どのように交渉したら良いのかも分からなくなります。
実際に加害者が弁護士を依頼した場合は、被害者の方も弁護士を依頼した方が、不利な示談内容にはならないでしょう。
特に弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用を気にせずに依頼することが出来ます。
弁護士費用特約を活用!

弁護士費用特約は、自動車任意保険に付随している特約で、加害者側と示談交渉を行う際の、弁護士費用を保険会社が負担してくれるものです。
弁護士費用特約は、一般的に限度額を300万円、法律相談は10万円を限度としています。
正式名は「弁護士費用等補償特約」と言います。
そもそもの始まりは、平成12年に日本弁護士連合会と損害保険各社とが協力し、作ったのが弁護士費用特約です。
現在の例のように、相手の加害者が弁護士を依頼した場合は、相互に弁護士同士の話し合いになり、スムーズな示談が期待されます。
加害者側と直接話をしなくて済むので、精神的ストレスもかかりません。
このように、弁護士費用特約に加入しているのであれば、使用することで優位な示談になるでしょう。
しかし、この弁護士費用特約は、加入率は増加しているものの、実際に使われているのは数パーセントと言います。
約款はよく確認!
保険会社に限りませんが、約款は小さな字で細々と記載されているため、通常は余り内容を確認することが少ないかもしれません。
しかし、使用不可の場合など重要な事項が含まれていますので、注意が必要です。
弁護士費用特約の代表的なものは次の場合で、当てはまれば利用ができません。
- 事業用の車両である場合
- 地震、噴火、津波によって生じた被害事故
- 無免許、酒気帯び、薬物使用状態で生じた被害事故
- 被保険者の故意または極めて重大な過失に起因する損害
約款については、インターネットの各保険会社のHPでも確認することが可能です。
また、弁護士費用特約を使用した場合でも、保険料がアップすることはありません。
交通事故における対応については、以下のブログ記事も参考にしてください。