- 交通事故の示談交渉とは?
- 物損事故の示談交渉の流れ
- 物損事故の争点と期間
交通事故の示談交渉にかかる期間が、どれ位なのか気になりますね。
実際はケースバイケースになりますが、示談交渉の内容による目安をお伝えしていきます。今回は特に物損事故に注目します。
交通事故の示談交渉とは?
交通事故が起きた時には、被害者と加害者間で示談交渉が行われます。よく耳にする示談交渉について詳しくご説明していきます。
交通事故によって起こる車の破損請求や、怪我をしていれば入通院の治療費と後遺障害慰謝料。
もし死亡事故になれば、死亡慰謝料や葬儀費用など、これら交通事故による損害賠償を話し合う手続きを示談交渉と言います。
人身事故と物損事故
交通事故は大きく分けて、人身事故と物損事故の2種類になります。
物損事故は車両や建物の損害のみだけで済んだ事故をいい、人身事故は更に死傷者が出た場合をいいます。
示談交渉の相手は?
交通事故の示談交渉は、当事者間で話し合うことは滅多にありません。
通常は、被害者と加害者の加入している保険会社同士が示談交渉をします。
しかし例外があります。
- 加害者が任意保険に加入していない
- 過失割合が10対0の場合
- 弁護士を依頼している
稀に任意保険に加入していない人がいます。その場合は加害者本人と保険会社が話し合うことになります。
また、過失割合が10対0の時は、自分が加入している保険会社は示談交渉が出来ません。
弁護士法第72条の非弁行為に該当してしまうからです。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用:弁護士法
加害者の保険会社と、直接被害者が話し合うことになります。しかし、弁護士を依頼した場合は、加害者の保険会社と弁護士が示談交渉します。
当然にその逆、加害者が弁護士に委任する場合もあります。
物損事故の示談交渉の流れ

先ほどもお伝えしましたが、物損事故は怪我などが一切なく、車両同士の衝突や建物などの破損だけの場合を言います。
主に次のような流れで進行します。
- 交通事故発生
- 警察への連絡
- 保険会社へ連絡
- 車両等の修理
- 示談交渉
- 過失割合の決定
- 示談書作成
警察への連絡は重要!
交通事故が発生したら警察への連絡は必須です。その理由は、警察は現場検証などをした後、自動車安全運転センターへ情報提供し、「交通事故証明書」が作成出来るようになります。
この「交通事故証明書」は、保険請求にも必要になります。また、当事者から事故の状況を聞いて、「実況見分調書」を作成することになります。
これは後に過失割合を決める際に非常に重要な資料になるからです。
保険会社への連絡
加入している保険会社へ連絡し、事故の状況を伝えて保険が適用されるか内容の確認と、今後の手続きについても打ち合わせをします。
通常は自分の加入している保険会社と、加害者の保険会社が話し合い示談交渉を進めていきます。但し、「示談交渉の相手」のところでもご説明したように、例外もあります。
車両等の修理
物損事故の場合に認められる損害賠償の範囲は、主に次のようになります。
- 車両の損害
- 代車の使用料
- 営業損害
車両の損害は、主として破損した修理代になります。しかし、車両の損傷が酷く修理が不可能な場合は、全損扱いになり、車両の時価額を賠償額として支払われます。
更に、修理代が車両の時価を上回る場合も、全損扱いとなることがあります。また稀に、高級車は事故歴が商品価値を下げてしまうため、評価損が認められる場合があります。
当然に修理期間は代車が必要になるため請求が認められ、営業車の場合は代車の他に休車損害も認められています。
物損事故の争点と期間
物損事故の場合は、人身事故のように後遺障害や症状固定の経過を待つ必要がないため、比較的早期に示談がまとまる可能性が強いでしょう。
【物損事故の争点】
- 過失割合
- 買い替え
- 評価損
物損事故の場合、何といっても争点は過失割合になります。過失割合とは、交通事故に対する責任の割合であり、〇〇対〇〇といった数字をよく耳にした事があると思いますが、これは損害賠償額の割合になります。
例えば、被害者の修理代金が50万円だったと仮定し、8対2の過失割合が決定したとします。その場合、加害者の保険から修理代の8割に相当する40万円が支払われ、残りの10万円は被害者が負担することになります。
被害者が車両保険に加入していれば、保険で補償されることもあります。その他、全損扱いの買い替えや評価損も争点になることがあります。
物損事故の示談交渉の期間
何度も繰り返しますが、交通事故はケースバイケースですから、定まった示談交渉の期間はありません。
しかし、民法の損害賠償請求権の時効が該当してしまいます。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
引用:民法
このように、「損害及び加害者を知った時から3年間」を経過すると時効が成立してしまいます。この場合の時効の起算点(始まり)は、交通事故が起こった時からとなります。
実際に示談交渉が難航するのは人身事故が多く、物損事故に関しては、時効成立にかかる事は少ないと言えます。
しかし、示談内容が不服で3年間を経過し示談が成立に及ばない場合も、裁判上の請求などの時効の中断もあり得ます。
示談交渉の期間
物損事故の場合は、車両の修理費用など比較的早く損害額が算定できます。
その上で事故の過失割合に応じて示談交渉が行われるため、1ヶ月~2ヶ月で示談成立し、争いがある場合も3ヶ月程度となることが多いでしょう。
但し、加害者が任意保険に加入していない時などは、解決金が分割払いになる可能性もあり、示談は成立しても完済までに長期になるケースがあります。
>>交通事故の示談交渉にかかる期間は?物損事故だった場合の期間は?