- 交通事故の弁護士特約
- 弁護士特約の成功報酬の相場
- 被害者は損をしないのか?
交通事故に遭遇した時に、弁護士費用特約に加入していると、弁護士費用を気にすることなく依頼することが出来ます。
ご自身の保険が加入しているか確認してみましょう。
交通事故の弁護士特約

自動車の任意保険には、弁護士費用特約を付加できるものがあります。
弁護士費用特約とは、交通事故に遭遇した被害者が、加害者に対して損害賠償請求を行うときなどに、弁護士費用を保険会社が負担するものです。
最も多い補償内容は次の通りです。
- 弁護士費用:300万円まで
- 法律相談費用:10万円
弁護士費用特約は任意保険のオプションですが、加入率は毎年増えているといいます。
この弁護士費用特約は、日本弁護士連合会の働きかけにより発足しました。
同会は本国での運用を実現させるため、諸外国の制度を調査・研究してきましたが、2000年に保険会社数社と協力して生まれました。
2016年10月1日現在、日本弁護士連合会と協定を結んでいる保険会社・共済協同組合は以下の通りです。
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- au損害保険株式会社
- 共栄火災海上保険株式会社
- セゾン自動車火災保険株式会社
- 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
- 全国自動車共済協同組合連合会
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
- ソニー損害保険株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- そんぽ24損害保険株式会社
- Chubb損害保険株式会社(チャブ保険)
- チューリッヒ保険会社
- 富士火災海上保険株式会社
- プリベント少額短期保険株式会社
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 三井ダイレクト損害保険株式会社
日本弁護士連合会では、今後の更なる拡大に向け取り組んでいます。
弁護士特約の成功報酬の相場

現在弁護士の報酬は、自由報酬となっています。
平成16年4月から各弁護士に一任されています。
元々弁護士には、日本弁護士連合会が定めた報酬規定というものがありました。
交通事故を例にとると、次のような弁護士費用の請求が考えられます。
- 法律相談
- 着手金
- 報酬金
- 日当
- 実費
弁護士の中には、現在も尚旧報酬規定を基準にしている場合が多く見られます。
参考までにご紹介すると次の通りです。
①法律相談:30分ごとに5,000円から25,000円の範囲内の額
②訴訟事件【着手金】
- 経済的利益の額が300万円以下の場合8%
- 300万円を超え3,000万円以下の場合5%+90,000円
- 3,000万円を超え3億円以下の場合3%+69万円
- 3億円を超える場合2%+369万円
※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる
※着手金の最低額は10万円
訴訟事件【報酬金】
- 経済的利益の額が300万円以下の場合16%
- 300万円を超え3,000万円以下の場合10%+18万円
- 3,000万円を超え3億円以下の場合6%+138万円
- 3億円を超える場合4%+738万円
※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる
③調停・示談交渉事件
着手金・報酬金:②に準じる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。
※示談交渉から調停・示談交渉又は調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、①の2分の1
※着手金の最低額は10万円
④日当
- 半日(往復2時間を超え4時間まで)3万円以上5万円以下
- 1日(往復4時間を超える場合)5万円以上10万円以下
近年の交通事故の弁護士報酬について
最近では交通事故に特化した弁護士事務所も増えて来ています。
その中でも、最も多いのが以下の報酬基準になります。
- 法律相談:無料
- 着手金:無料
- 報酬金:経済的利益の10%+20万円
または、着手金が20万円で報酬金が経済的利益の10%という場合もありますが、計算結果は同じになります。
経済的利益とは、弁護士報酬の独特な言い回しですが、交通事故の報酬の場合は2つのパターンが考えられます。
- 示談金の全て(回収額)
- 元々の提示金額へ増額できた金額(増加額)
当然に後述の方がお得になります。
弁護士に依頼するタイミングによって大きく違ってきます。
少々分かりにくいのですが、不明に思う場合は相談時に弁護士に確認してみましょう。
被害者は損をしないのか?

弁護士費用特約と、弁護士の報酬基準について確認してきました。
では、被害者は弁護士費用特約を利用して損をしないのでしょうか?
先程もお伝えしましたが、基本的に弁護士費用が300万円程度までは、弁護士費用特約で任意保険から負担されます。
一般的に300万円を超えてしまうのは、損害賠償が2000万円を超えるような重症案件になります。
しかし、例え300万円を超えても、賠償金から弁護士費用を差し引いてもらえば、実質手出し金額がなくなります。
弁護士費用特約を利用するメリット
- 弁護士に依頼することで示談金の増額
- 弁護士費用を保険で賄える(一部支払いの場合有)
- 等級が落ちない(保険料が上がらない)
- 弁護士を自由に選択できる
- 家族の弁護士費用特約も利用できる
この中で特に注目したいのが、家族の弁護士費用特約も利用できることです。
例えば自分の車の保険に弁護士費用特約を附帯していなくても、家族の車の保険に附帯していれば使えるというものです。
但し、一部の保険会社では適用外というところもあります。
ご自身の保険の弁護士費用特約の約款をよく確認してみましょう。
更に、ノンフリート等級である点もポイントが高いと言えます。
総合的に考えても、メリットはあっても大きなデメリットは考えられません。
慰謝料などの金額算定には、次の3つの基準があります。
- 自賠責保険基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
一番金額が低いのが自賠責保険基準であり、高いのは弁護士基準です。
中間をいっているのは任意保険基準になります。
大差がないと思われるかもしれませんが、倍以上の金額の違いがあります。
次の例をご覧下さい。
【1級(目安金額)】
- 自賠責基準:1100万円
- 任意基準:1600万円
- 弁護士基準:2800万円
【2級(目安金額)】
- 自賠責基準:958万円
- 任意基準:1300万円
- 弁護士基準:2370万円
後遺障害等級別の慰謝料基準目安を抜粋したものになります。
弁護士基準は自賠責基準の倍以上になっているのをご覧頂けるでしょう。
弁護士基準は過去の判例などを基に、裁判所ベースで考えられています。
弁護士に依頼するとしないとでは、大きな差があると言えます。
よって、損をするどころか、得をすると考えた方が良いでしょう。
交通事故に関する相談について
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