- 自動車事故の加害者の責任
- 弁護士へ相談・依頼するメリット
- 弁護士へ相談・依頼するデメリット
予想もしない交通事故で、加害者になってしまった場合に、弁護士へ相談すべきでしょうか?
弁護士に相談するメリット・デメリットをお伝えします。
自動車事故の加害者の責任

交通事故を起こしてしまった場合は、冷静に対処する必要があります。
すぐにやるべき次の3つの事は、非常に重要になります。
①救急車を呼ぶ
②警察に連絡する
③保険会社に連絡する
特に①と②は対処を怠ると、報告義務違反が成立してしまいます。
道路交通法第72条第1項
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
引用:道路交通法
道路交通法第117条の第1項・第2項
- 第117条 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合において、第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反したときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
- 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
引用:道路交通法
このように道路交通法によって規定されています。
第一に被害者の救護を優先に行動する必要があります。
次に警察への報告義務があります。
また、保険会社へも直ぐに連絡して事故の状況報告をし、指示に従います。
加入保険会社は、被害者側と過失割合や損害賠償金について、示談の話し合いをしてくれます。
しかし、示談が難航しそうな場合や、刑事罰の軽減にも弁護士を依頼した方が良い結果になるでしょう。
弁護士へ相談・依頼するメリット

先程もお伝えしたように、弁護士の介入によって有利な示談交渉が可能になります。
交通事故の加害者になると、次の3つの責任を負うことになります。
- 民事責任
- 刑事責任
- 行政責任
民事責任への弁護士介入
加害者の民事責任は、被害者に対しての損害賠償責任になり、慰謝料を含めた賠償金の支払いです。
保険会社も被害者との交渉はしてくれますが、話し合いがまとまらず調停や裁判になった場合は、弁護士に依頼すると優位な結果を得られる場合があります。
弁護士が介入していると、被害者との直接交渉もないため、精神的にもメリットがあります。
弁護士費用については加害者の負担になります。
例え弁護士費用特約を附帯していたとしても、民事事件は基本的に加害者の負担です。
しかし例外的にこんなパターンもあります。
過失割合が80%だった時は、被害者にも20%の責任があることになります。
保険会社によっては、20%分に関し弁護士特約を利用できる場合があります。
刑事責任への弁護士介入
交通事故での刑事事件とは、死傷者が出る人身事故になった場合や、飲酒運転などで過失犯とされた時です。
弁護士が介入すると、過失を認めた上で情状を主張し、刑の軽減を図ることがポイントになります。
加害者が逮捕や勾留されている場合は、弁護士が代理人として親族などと被害者の謝罪に同行することもあります。
弁護士は不起訴処分を獲得するために働きかけ、早期の釈放を実現させます。
刑事事件の場合は、前科を付けない(または執行猶予を獲得する)ことが最も重要ですから、早期の示談や被害者からの嘆願書の取得も弁護士の腕に掛かっています。
よって、刑事事件についての弁護士は必須となります。
行政責任への弁護士介入
交通事故での行政責任は、一定の点数と反則金が課されることになります。
場合によっては、免許取消や免許停止も有り得ます。
行政責任に関しては、弁護士が介入したとしても、特段のメリットはありません。
弁護士へ相談・依頼するデメリット

自動車事故において、弁護士が介入するメリットが大きいことが分かりましたが、デメリットはあるのでしょうか?
確認していきましょう!
交通事故においては、弁護士へ相談・依頼する大きなデメリットはありません。
むしろメリットばかりです。
デメリットがあるとすれば、弁護士費用が発生するということです。
先程も少し触れましたが、任意保険の附帯で弁護士費用特約というものがあります。
万が一の場合に、弁護士費用は保険会社が負担してくれるというオプションで、近年は加入率も増加しています。
その弁護士費用特約に加入していたとしても、基本的に加害者の場合は対象外になってしまいます。
なぜなら、弁護士費用特約は被害者のための保険だからです。
加害者になってしまった時には、自費で弁護士を依頼することになります。
そうなると心配なのが弁護士費用です。
交通事故の弁護士費用
弁護士報酬は2004年から自由化されており、各弁護士が自由に報酬を決めてよいことになりました。
交通事故の弁護士費用で考えられるのは次の通りです。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 実費
弁護士は「経済的利益」を基準にして、報酬金を決定します。
例えば被害者であって、弁護士の交渉により賠償金がプラスされたとします。
その場合は賠償金を経済的利益と考え、その何パーセントかが報酬として計算されます。
回収額や増加額を経済的利益と考えることが多いでしょう。
最近の交通事故の弁護士費用は、インターネットのホームページなどで確認すると、次のような金額が多いようです。
- 相談:無料
- 着手金:無料
- 報酬金:経済的利益の10%+20万円
- 実費
以上のように加害者に関しては、弁護士費用が発生することが最も大きいデメリットです。
また、交通事故案件の経験や実績が少ない弁護士に相談・依頼することは、マイナスになります。
思い通りの結果にならないなど、依頼したことを後悔することになってしまいます。
良い弁護士選びが、示談や事件解決の鍵になるでしょう。
弁護士の選択によっては、思わぬデメリットを招く結果になってしまうからです。
費用面でも、良心的な金額の弁護士を選択するようにしましょう。
精神的ダメージに加え、経済的ダメージを負わないように注意が必要です。
交通事故に関する相談について
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