- 住宅ローンを滞納すると?
- 個人信用情報機関とは
- 住宅ローンの延滞履歴のデメリット
住宅ローンは長期の返済ですから、様々な事情により滞納してしまうこともあります。
では、滞納するとどのようなことが起こってしまうのでしょうか?
住宅ローンの滞納について、詳しくお伝えしていきます。
住宅ローンを滞納すると?

折角手に入れたマイホームですが、住宅ローンを支払えなくなる場合があります。
住宅ローンの返済がないと、融資した金融会社から催促の連絡が来ることになります。
電話での催促や、初めは「ご連絡」または「お知らせ」といった柔らかい書面が届きます。
それでも放置していると、金融機関によっては「再度のご連絡」や「来店依頼について」などといった書面が送られて来る場合もあります。
しかし未納状態が続くと、「催促状」「催告書」が届きます。
普通郵便で届くことが多いでしょう。
更に返済がなされないと、3ヶ月を目安に「代位弁済手続き開始の予告」といった文書が届きます。
これは最終通告とも言えるため、直ちに金融機関と連絡をとるべきです。
返済出来ない事情などを話し、相談してみましょう。
返済内容の変更で履行が可能であれば、相談する価値があります。
それでも連絡を取らない場合は、だいたい6ヶ月程度で「期限の利益喪失通知」が内容証明郵便で届きます。
数日後には保証会社から「代位弁済通知」が内容証明書で届きます。
「代位弁済通知」には、次のような内容が記載されています。
- 債権者が金融会社から保証会社に変更
- 保証会社が金融会社へ残債務を支払った
- 残元金と遅延損害金の合計を一括請求
- 返済がないと不動産を競売する
それから間もなく、保証会社は1円でも多く回収するために、裁判所に競売の申立てをします。
「担保不動産競売開始決定通知」が届き、手続きが開始されます。
住宅ローンを滞納すると、このような流れで進んでいき、いずれ競売によって住宅を失うことになってしまいます。
競売以外には、時期によっては任意売却という方法を選択できることもあります。
個人信用情報機関とは

現在日本には、CIC・JICC・KSCの3つの個人信用情報機関があります。
個人信用情報機関とは、加盟するローン会社やクレジット会社、銀行などから収集された情報を管理し、加盟会社からの照会に応じて、情報提供を行なう機関です。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
この3つの個人信用情報機関は、信用情報共有ネットワークCRIN(クリン)でお互いにブラック情報を共有しています。
それぞれの個人信用情報機関には特徴があり、株式会社日本信用情報機構(JICC)は最も古くからある信用情報機関になります。
主に消費者金融と信販会社が会員になっています。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)はクレジットカード会社と信販会社が主な会員になります。
また、JICCとCICはFINEというネットワークで情報の一部を共有しています。
最後に全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、銀行と銀行系カード会社が主な会員になっています。
各登録機関の掲載時期は次のようになります。
株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 延滞情報:5年
- 債務整理:5年
- 多重申込:6ヶ月
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 延滞情報:5年
- 債務整理:5年
- 多重申込:6ヶ月
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
- 延滞情報:5年
- 債務整理:5年・官報掲載10年
- 多重申込:6ヶ月
どれ位の遅滞で掲載されるのか
例えば振り込む時間が遅くて、当日扱いにはならず、翌日の振込になることがよくあります。
たった1日のことですが、遅滞には変わりありません。
特に3社の中で厳しいのは株式会社シー・アイ・シー(CIC)です。
CICは正常な支払は「$」で表し、遅滞を「A」という記号を使っています。
この記号表記で2年間分は、毎月の支払い記録が残されています。
CICに限っては、数日の遅れでも記載されてしまいます。
その他は、通常3ヶ月以上の遅滞で記載されます。
よくブラックリストというリストがあると、勘違いしている人がいますが、実際にはそのようなリストは存在しません。
遅滞は「異動」という言葉で表現されています。
住宅ローンの延滞履歴のデメリット

住宅ローンでも遅滞の履歴は掲載されます。
もし遅滞履歴があると、どのような影響があるのでしょうか?
住宅ローンの遅滞情報も「移動」として登録されます。
その後に代位弁済や債務整理などの法的措置を取れば、「事故」として扱われます。
個人信用機関情報に掲載されると、次のようなデメリットが発生します。
- 新たなカードを作れなくなる
- カードローンが借りられない
- 自動車の分割払いを組めない
先ほどお伝えしたように、数年間は記録が消えないため、ローンを組むことが難しくなってしまいます。
また、例えば住宅ローンの支払いが出来なくなって、住宅を売却したとします。
次に住む住居が賃貸の場合、実は借りられない場合が出て来てしまいます。
不動産契約に際し、「家賃の保証会社」との契約がある場合と、同じく「家賃収納代行サービス」を利用する場合です。
信販会社などが扱うことになれば、当然に審査に通らないでしょう。
思わぬところで影響が出て来てしまいます。
しかし、任意売却であれば、担当してくれた不動産会社が審査に問題のない物件を紹介してくれる可能性があります。
遅滞のある人が住宅ローンを借りるとき
更にこんなこともあります。
遅滞記載のある人が、住宅ローンを借り入れる場合に注意すべき点があります。
他のローンに比較して、長期に亘って支払っていく住宅ローンの審査は、とても厳しいと言えます。
特に地方銀行の商品説明には、「過去1年間に延滞をしていないこと」といった、注意書きがある場合もあります。
しかし、都市銀行やネット銀行ではそのような条件が無く、比較的審査に通る可能性が高いと言えます。
今後マイホーム計画のある人は、1回の遅滞が審査に響いてくることを頭によく入れておく必要があります。
また、将来住宅ローンを借りようと考えている金融機関を、メインバンクにして日頃から取引をしておくことも、信頼を得る方法の1つでもあります。