オーバーローン住宅 売却 離婚後 住宅ローン 支払い

  • 離婚と住宅ローン
  • 住宅ローンのある家の売却
  • 住宅ローンの残債の計算

離婚の財産分与で、最も分割することが難しいのが住宅です。

特に住宅ローンの残債がある場合は、売却自体が厳しくなります。

そんな住宅ローンが残っている家を売却する方法についてお伝えしていきます。

離婚と住宅ローン

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厚生労働省の離婚件数の統計調査によると、H28年度の離婚者数は217 ,000組でした。

多くの夫婦はマイホームを建築した時には、まさか離婚するとは思いもしなかったでしょう。

離婚を決めた場合に、問題になるのが住宅です。

その殆どは住宅ローンがある物件になるからです。

当然に住宅も財産分与の対象になり、夫婦で公平に分配する必要があります。

例え妻が専業主婦であっても、内助の功として夫を支えたことから、原則夫と妻は2分の1ずつの割合で財産分与することが一般的です。

財産分与のためには、まず不動産の価値を把握する必要があります。

通常は不動産会社や不動産鑑定士に査定を依頼することになります。

出来れば1社ではなく、数社の査定を比較することをお勧めします。

一般的に不動産鑑定士は正式な鑑定書を作成するため、有料になることが多いので、簡易的な無料査定をしてもらえる不動産会社を選択すると良いでしょう。

不動産鑑定士の場合は、不動産の鑑定を職業としているために、必然的に有料になってしまいます。

また、裁判所に提出する裁判資料としての性質もあります。

不動産会社の無料査定により、住宅がどれ位の価値があるか相場も掴めたら、住宅ローンの残高との差額も把握しておきます。

住宅ローンの残高は金融機関からの返済計画表(償還表)でも確認できます。

オーバーローンになるか、アンダーローンになるかで、対応も違ってきます。

その上でどのような売却方法が有効か検討する必要があります。

住宅ローンのある家の売却

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通常は夫婦で設けたマイホームには、住宅ローンが残っていることが殆どになります。

その場合は担保物件として、抵当権が設定されています。

抵当権とは金融会社から借金した場合に、返済ができないときには、担保とした物件を他の債権者に優先して弁済を受ける権利をいいます。

その抵当権が設定されていることにより、通常は住宅を売却することができません。

特に夫婦で連帯債務者や連帯保証人になっていれば、離婚に際して抵当権を外したいのは当然になります。

では、売却する方法はないのでしょうか?

アンダーローンの場合とオーバーローンの場合、それぞれに確認してみましょう。

【アンダーローンの場合の売却】

アンダーローンの場合は、住宅ローンの残債務より売却代金が多いため、住宅ローンも完済でき余剰金も出ます。

一般的に抵当権は司法書士に依頼して、売買と同時に抹消することになります。

よって、アンダーローンの場合は、問題なく売却ができることになります。

【オーバーローンの場合の売却】

オーバーローンの場合は、住宅ローンの残債務が売却代金では充当しきれず、不足が生じてしまいます。

その不足分をどのように補うかが重要になります。

主な方法は次のようになります。

  • 不足分を一括で返済する
  • 住み替えローンを利用する
  • 任意売却する
不足分を一括で返済する

預貯金などがあれば、売買代金と合わせて不足分を支払い、住宅ローンを完済させます。

住宅ローンが完済出来れば、当然に抵当権も抹消できます。

親族に協力者がいれば、不足分を一時的に借用して、住宅ローンを完済させる方法も有効です。

住み替えローンを利用する

夫婦の一方がマンションなど新たに住宅を購入する予定があれば、住み替えローンを利用する方法もあります。

住み替えローンとは、不足分と、新しい住宅の代金を合算して、新たに住宅ローンを借入することをいいます。

非常に審査が厳しいため、ハードルが高いデメリットがあります。

任意売却する

任意売却は基本的に滞納していることが条件になります。

約定通り住宅ローンを返済している状態では、金融会社は簡単に応じてはくれません。

任意売却するためには、数ヶ月間返済を滞納する必要があります。

だいたい6ヶ月程度で期限の利益を喪失し、金融会社は保証会社へ代位弁済を求めます。

この頃から任意売却が可能になりますが、保証会社が競売申立ての手続きをする前に、交渉に入るとスムーズに進む可能性が高いでしょう。

住宅ローンの残債の計算

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具体的に住宅ローンの残債が、どのように計算されるか例を挙げて解説していきます。

アンダーローンの例

住宅の時価が1,500万円に対し、住宅ローンの残金が1,000万円だった場合はアンダーローンとなります。

1,500万円-1,000万円=500万円

よって、500万円の売却益になります。

離婚する夫婦で夫250万円、妻250万円の財産分与ができます(分かりやすいように諸経費は除いています)。

オーバーローンの例

住宅の時価が1,500万円に対し、住宅ローンの残金が2,000万円だった場合はオーバーローンになります。

1,500万円-2,000万円=▲500万円

この500万円はマイナス財産として、夫婦で2分の1ずつ財産分与されることになります。

つまり、夫250万円、妻250万円を負担する必要があります。

しかし例外もあり、例えば住宅購入の際に、頭金として妻の独身時代の貯金を200万円充当しているとします。

独身時代の貯金ですから、200万円は特有財産と見なされます。

そうなると・・・

1,500万円-2,000万円=▲500万円

【妻負担分】

  • 500万円÷2=250万円
  • 250万円-200万円=50万円

【夫負担分】

  • 500万円-50万円=450万円

妻は夫より既に200万円多く支払っているため、マイナス財産分与の500万円の負担分から差し引かれ、50万円だけを負担することになります。

一方夫は、夫婦で2分の1ずつ分けた250万円に妻が既に払っていた200万円が加算され450万円を負担することになります。

仮に婚姻期間中の貯蓄が700万円あったとします。

その場合は、500万円を住宅ローンの不足分として充当し、残りの200万円は妻が受け取ることになります。

このように特有財産は婚姻前の妻の財産であり、婚姻期間中に築いた夫婦の共有財産ではありません。

基本的な考え方としてはこのようになりますが、しかし、妻が負担した200万円は購入時の時価評価と考える場合もあります。

購入時に3,000万円の住宅であれば、現在の住宅時価が1,500万円なので、2分の1になっています。

そうであれば、妻の負担した頭金も時価は2分の1で、100万円とする考え方もあります。

この辺りの考え方は、夫婦で離婚協議の際にお互いに譲歩しながらよく話し合う必要があります。

 

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