住宅ローン 滞納 給料 差し押さえ 任意売買

  • 住宅ローンを滞納したら?
  • 任意売却で解決は可能か?
  • 給料が差押えされる場合

住宅ローンの滞納をしても、突然給料の差押えをされることはありません。

では、どういった場合に差押えされるのか?

任意売却との関係も探っていきます。

住宅ローンを滞納したら?

キャラ

先ほどもお伝えしたように、結論から言えば住宅ローンを滞納しても、いきなり給料の差押えはありません。

差押えは、債権者の権利のために国が債務者の財産(不動産、動産、債権)の処分を禁止することです。

差押えには「債務名義」というものが必要になります。

この「債務名義」は、請求権の存在や範囲、債権者や債務者を表示した公の文書になります。

裁判所に申立てすることによって、財産を差し押さえする準備をします。

差押えの対象になるものは、主に給料や預貯金、動産、不動産などです。

但し、注意しなければならないのは、税金などの滞納に関しては、裁判所を介さず予告なしに差押えされます。

住宅ローンの滞納の場合

住宅ローンを組む場合に、契約書の中に通常は期限の利益喪失条項というものがあります。

期限の利益とは、約束した期限が来るまでは返済しなくてもいいという債務者の権利です。

債務者だけが一方的に有利な気がしますが、債権者にも同等の権利があります。

債務者が一定期限は分割返済しなくてもいい権利がある代わりに、債権者は金利を取ることができます。

それが遅延損害金で、年利14%前後が最も多いでしょう。

しかし、いつまでも債務者の履行が猶予される訳ではありません。

「〇回以上弁済を怠れば、当然に期限の利益を喪失する」といった文言が約款に記載されています。

また、一般的に遅滞の他にも民法第137条に則り、期限の利益を喪失する文言が記載されています。

(期限の利益の喪失)第137条

次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。

  1. 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
  2. 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
  3. 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

引用:民法

このように破産したり、担保(ここでは不動産)を滅失・損傷・減少なども期限の利益を喪失します。

住宅ローンを組む際には、初めから担保として抵当権を設定していますから、債務名義が不要になります。

債権者は担保権の実行手続、いわゆる競売手続きを裁判所に申立てすることが出来ます。

そのため順番的に考えても、給料差押えを競売より最初にすることは通常ないでしょう。

任意売却で解決は可能か?

キャラ

債権者に競売を申立てされては、大変な事態になります。

それを回避する手段として任意売却があります。

任意売却は、任意売却を扱っている不動産会社や不動産コンサルタントが、債権者と債務者を仲介して、市場価格に近い金額で売却するものです。

競売の場合、市場価格の50~70%の価格でしか売却が出来ないのに対し、市場価格に近い金額で売却出来るため、残債務が少なくなります。

残債務が少なくなることは、債権者・債務者共にメリットがあります。

任意売却は債権者の協力が大きいため、任意売却を多数手掛けている交渉力のある不動産業者が望ましいでしょう。

【任意売却のメリット】

  • 競売より高く売却できる
  • プライバシーが守られる
  • 売却代金から諸経費を認められる場合がある
  • 引越し日を柔軟に話し合える
  • 精神的苦痛が少ない
競売より高く売却できる

先ほどもお伝えしたように、競売は市場価格の50~70%なのに対し、任意売却は市場価格に近い金額で売却できます。

なぜ競売が低い金額かというと、競売物件には瑕疵担保責任がありません。

瑕疵担保責任とは、物件に欠陥があった場合などに、売主に損害賠償請求できるものです。

裁判所ではその分を考慮して価格設定がされています。

(売主の瑕疵担保責任)第570条

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

引用:民法

プライバシーが守られる

競売の場合はインターネットなどに掲載されるほか、落札目的の不動産業者が近所に聞き込みをします。

そのため、ご近所に競売されていることを知られてしまうリスクが高くなります。

その点、任意売買は一般売買として公開することになります。

売却代金から諸経費を認められる場合がある

任意売買では債権者の協力が大きく、売買に掛かる費用や引越し代金も認めてもらえる場合が多くなります。

引越し日を柔軟に話し合える

任意売却では、競売のように強制的な退去を迫られることがありません。

売主の都合をある程度考慮してもらえます。

精神的苦痛が少ない

競売されたというだけで、精神的に追い込まれてしまいます。

ご近所などの噂も気になるところです。

任意売却なら、新生活をスタートするにもダメージが少ないでしょう。

給料が差押えされる場合

キャラ

先ほどもお伝えしましたが、住宅ローンの場合は担保として抵当権が設定されています。

抵当権は他の債権者に優先して債権を受ける権利です。

この債務者が、住宅ローンの他にも借金があったとします。

その債権者が差押えできるのは、必然的に住宅以外のものになります。

よって、給料や預金などを差押えされる可能性が高くなります。

当然に、任意売却後の残債務を分割で支払っている場合に、滞納すれば給料などを差押えされる可能性もあります。

但し、給料の差押えは4分の1までと決まっています。

(差押禁止債権)第152条

1.次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。

債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権。

給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権

2.退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはならない。

3.債権者が前条第1項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前2項の規定の適用については、前2項中「4分の3」とあるのは、「2分の1」とする。

引用:民事執行法

全額差押えされる訳ではありませんが、生活が苦しくなるのは当然のこと、勤務先にも借金が知られてしまうため、職場に居づらくなる可能性も高いでしょう。