任意売却物件 トラブル 任売市場 不動産 購入 注意点

  • 任意売却物件の購入トラブル
  • 任意売却物件の購入の注意点

大きな買い物ですから、不動産を購入するのは一生にそう何度もありません。

そんな時に市場価格より安価な任意売却物件という不動産を見つけた場合、購入するべきかどうか不安になります。

そんな任意売却物件を購入する際の、注意点について解説していきます。

任意売却物件の購入トラブル

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任意売却物件は、住宅ローンの返済不能となった人が売却する物件のため、様々なトラブルが予想されます。

次のようなトラブルが発生する場合もあります。

  • 債権者との交渉が難航する
  • 住宅が差押えられる
  • 瑕疵担保責任がない
  • 残置物がある場合も!
  • マンション特有の問題あり

債権者との交渉が難航する

任意売却では、基本的に債権者の承諾が得られないと売買ができません。

住宅購入時には、その不動産(土地・建物)を担保として融資するため、抵当権が設定されています。

任意売却はその抵当権を外さなければ売買出来ないからです。

売却配分表を作成して債権者に提示し検討してもらうため、時間を要することになります。

また、場合によっては同意が得られない可能性もあります。

住宅が差押えられる

売主は住宅ローンの返済が不能になったのですから、他にも借金を抱えている可能性があります。

例えば税金関係の滞納や、消費者金融からの借金がある場合も否定できません。

金消契約が終わり、所有権が移転する前までは差押えされる危険性を捨て切れません。

瑕疵担保責任がない

任意売却物件では、瑕疵担保責任が免責されます。

瑕疵担保責任とは?

住宅を購入する場合に、売買の目的物に瑕疵(欠陥がある状態など)があり、それが取引上要求される通常の注意をしても気付かぬものである場合、売主が買主に対して負う責任をいいます。

宅建業法では次のように定められています。

(瑕疵担保責任についての特約の制限)宅建業法第40条

  1. 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は、建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条3項に規定する期間についてその目的物の引き渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
  2. 前項の規定に反する特約は、無効とする

引用:宅建業法

しかし任意売却では瑕疵担保責任が適用されないため、思わぬ欠陥が見つかることもあります。

残置物がある場合も!

通常は残置物のない状態での引き渡しが原則になります。

ところが、稀に荷物を処理せずにそのまま置いていく場合があります。

処理するにも本人の承諾がないと出来ませんから、非常に面倒な上、時間も費用も掛かることになります。

マンション特有の問題あり

マンションの場合に注意しなければならないのが、管理費や修繕積立金です。

売主が管理費や修繕積立金を滞納していた場合、区分所有法8条では、特定承継人にも請求できると定められています。

特定承継人とは、売買・交換・贈与などで権利を継承した者になります。

(特定承継人の責任)第8条  

前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

引用:区分所有法

マンション特有の特殊な例ですが、可能性がゼロとは言えません。

任意売却物件の購入の注意点

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任意売却で起こりうるトラブルについてご紹介しました。

次は任意売却物件を購入する際の注意点についてお伝えします。

  • 事故物件と近隣瑕疵
  • 手付金の処理
  • 競売の取下げ

事故物件と近隣瑕疵

先ほどの任意売却のトラブルの中でもお伝えしたように、任意売却では瑕疵担保責任が免責されています。

よって、隠れた瑕疵があって損害を被る可能性もあります。

同じように、事故物件や近隣瑕疵がある場合も考えられます。

事故物件とは、その住宅で自殺があったとか、浴室で心筋梗塞になり死亡したとか、殺人事件があったなど、曰くつきの住宅を称して事故物件と言います。

当然に誰もそのような住宅を購入したいとは思いません。

また、近隣に暴力団事務所があったり、騒音・振動や野良猫・鳥の被害、隣人が近所のトラベルメーカーであるなど、心理的に避けたい状況の場合も考えられます。

不動産業者のようなその道のプロであれば近隣に聞き込み調査もできますが、一般人ではそこまでのことは出来ません。

知らずに購入してしまったら、事故物件や近隣瑕疵がある場合も考えられます。

仲介の不動産業者などに、よく確認することが必要になります。

手付金の処理

通常の不動産売買では、売買契約締結の際に手付金を売主に支払います。

しかし、任意売却では扱い方が少し違っています。

売主には手付金を渡さずに、仲介の不動産業者に預ける形になり、決済の際に債権者に渡すことになります。

売主である債務者は、借金が返済できず生活に困窮しているため、手付金を渡せば使い込みしてしまう可能性もあります。

必ず仲介不動産会社へ渡し、預り証をもらうようにしましょう。

競売の取下げ

任意売却する売主は、その殆どが裁判所に競売の申立てをされています。

裁判所から競売開始決定通知が届き、任意売却を検討する売主の方も多いでしょう。

そのまま取下げをしないと、それから約6ヶ月から1年程度の間に現況調査の通知が届くことになります。

裁判所の執行官と不動産鑑定士が住宅の調査をし、査定することになります。

現況調査までの期間は少々ありますが、現況調査後は期間入札、落札、明け渡しと一気に進むことになります。

よって、任意売却物件を購入する場合は、債権者によって競売の取下げや差押え取消がなされたか、必ず確認する必要があります。

売買契約をしたのに、まだ競売の取下げがされていないなどという事がないように、十分注意が必要です。

 

任意売却物件の購入についてお伝えしてきました。

任意売却物件は安価で手に入る場合も多いですが、それ故にトラブルが潜んでいたり、注意点があったりとリスクを伴います。

購入する場合には、よく見極めて様々なリスクを回避するように気を付けることが重要になります。

また、任意売却物件は通常の売買物件と違い特殊な取引になります。

任意売却物件を専門に取り扱いしているような、不動産業者が望ましいと言えます。