- 財産分与でも税金はかかるの?
- 離婚する場合に不動産を相続したら税金はかかるの?
- 不動産の相続は不動産取得税の申告をする必要がある?
財産分与を行う際に税金がかかるのはご存知ですか?
離婚でのお金の問題では、財産を持っていかれる側と受け取る側でどれくらい税金がかかるのか、それぞれ疑問を抱えているのではないでしょうか。

財産分与ではどのような税金がかかってくるのでしょうか。
財産分与での不動産に関する税金についても説明していきます。
財産分与は必ず課税される?

財産分与のとき財産の受け渡しをすると必ず課税されるのでしょうか。
基本的に離婚による財産分与では、相手から財産を受け取るというものではありません。
ですから、通常の財産分与では贈与税はかからないとしています。
しかし、ある条件に該当した場合は、財産分与で贈与税などの支払いが生じる可能性があります。
具体的にどのような場合に課税されたりするのかまとめてみました。
- 贈与税、不動産の取得に必要な税が課せられる
- 財産分与の割合が90:10など分与割合が正当な理由もなく明らかに偏りがある場合
※50:50ならかからない - 財産分与対象の中に不動産(土地や建物など)が含まれている場合
- 婚姻期間中に築いた夫婦の財産を50%ずつ分配した場合は贈与税が課税されることは原則ありません。
この財産分与を「清算的財産分与」と言う。
※ただし、財産分与対象に不動産(土地や建物など)が含まれている場合は税金がかる。
このように課税されるケースとされないケースがあります。
財産を受け取る側か譲る側かで変わる

財産をもらう側での税金から見ていきましょう。
財産を受け取る側の場合
贈与税
財産分与で財産を貰い受けることで、贈与税がかかるのではないかと気になるところ。
財産分与をもらい受けた側は、基本的に譲与税を払う必要はない。
この理由、財産分与は本来夫婦それぞれが持つべき財産の清算です。新たに取得したものではないため、贈与税を支払う必要はありません。
財産分与として譲り受けた財産が、相場と比較して多い場合には”多い部分”について例外的ですが、贈与税がかかります。
一般的に財産分与の割合は2分の1とされているのですが、この割合を大きく超える財産を妻側が受けた場合には、多すぎると判断された部分で贈与税がかかるということ。
注意が必要ですね。
不動産取得税

財産分与で不動産を取得した場合には、不動産所得税が気になりますね。
不動産所得税に関しても基本的に支払う必要はありません。
理由は贈与税と同様。新たに財産を取得したわけではないという考えになります。
そして不動産を含む財産分与として譲り受ける財産が相場よりも多いという場合は、贈与税がかかる可能性があります。
これも贈与税と同じです。
基本的に贈与税も不動産取得税もかかりませんが、不動産の登録免許税、取得した後の固定資産税はかかります。
不動産の登録免許税
- 固定資産評価額の1000分の20(1,000円未満は切捨て)例)1億円の評価額の土地 → 登録免許税200万円
不動産固定資産税
- 固定資産評価額×1.4%(標準税率)
財産を渡す側の税金

財産を渡す側にはどのような税金がかかるのでしょうか。
財産を渡す側は「譲渡取得税」がポイントです。
何を財産分与した場合に課税されるのか
まず、現金には譲渡取得税はかかりません。
土地、建物などの不動産を譲渡した場合、譲渡取得税がかかる可能性がある。
所得税法にいう資産
- 株式
- ゴルフの会員権
このようなものを譲渡した場合にも課税されます。
譲渡取得税のかかるかからない

譲渡取得税にはかかる場合とかからない場合があります。
上記の場合は支払わなければならない可能性があります。株券、ゴルフ会員権のときの同じです。
譲渡所得税金額の算出
譲渡所得税では、土地や建物の売却価格から取得費用・譲渡費用などを差し引いて算出されます。
その算出方法は、長期譲渡取得・短期譲渡取得のそれぞれで計算方法が異なります。
長期譲渡取得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの
短期譲渡取得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの
長期譲渡取得税の計算方法
税金の種類は所得税・住民税・復興特別所得税の3種類。
- 所得税=課税長期譲渡所得金額×15%
- 住民税=課税長期譲渡所得金額×5%
- 復興特別所得税=所得税×2.1%
課税長期譲渡取得金額=譲渡価格-(所得+譲渡費用)-特別控除
譲渡価格:土地・建物の売却代金
取得費:不動産購入代金、購入手数料、改良費などを含む
建物の場合、取得費は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算。
土地や建物の取得費は分からなかったり、実際の取得費が譲渡価格の5%よりも少ないときは、譲渡価格の5%を取得費(概算取得費)とする。
短期譲渡取得税の計算方法
短期譲渡取得税も税金の種類は同じで所得税・住民税・復興特別所得税の3種類。
- 所得税=課税長期譲渡所得金額×30%
- 住民税=課税長期譲渡所得金額×9%
- 復興特別所得税=所得税×2.1%
節税方法はある?
財産分与をする際に、人によっては税金対策をしなければ離婚でもらう財産分与で損をしてしまう可能性もあります。
- 贈与税
- 不動産取得税
※財産分与の中に不動産が含まれている場合のみ
裁判所の統計では、財産分与でもらえる金額は100万円以下が約3割で最も多いようです。
それほど高い金額でもないのに、税金を納めるのはもったいないと思ってしまいますよね。
3つの対策について説明します。
特別控除(租税特別措置法35条)
居住用財産を売却した場合:3000万円分まで税金がかかりません。
そこで気をつけなければいけない点があります。
この特別控除は夫婦間、親子間での不動産譲渡の場合は適用さえれません。
節税をするなら離婚をしてから所有権を移転させる必要があります!
長期譲渡所得税についての軽減税率の特例(租税特別措置法31条、31条-3)
所有期間が10年間を超えている居住用不動産を売った場合、税率が軽減される。
特例が適用された場合の税率は以下の通りになります。
- 通常の譲渡所得税 15% → 10%
- 通常の住民税 5% → 4%
配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦間の離婚で、財産分与の際に居住用財産を渡すことになった場合、最高2110万円の控除が受けられます。
基礎控除110万円に加えて最高2000万円分は税金がかからないということになります。
20年以上婚姻関係を続けている夫婦で居住用不動産を財産分与するなら、婚姻関係が継続している間に贈与して、それ以外の部分は離婚成立後に贈与をすると節税に。
財産分与する不動産などが高額な贈与である場合は、このような節税対策になる制度があります。
よく状況に合わせて選択肢、節税をしましょう。
まとめ
財産分与では、財産の受けとりをした場合、必ず税金がかかるわけではありません。
財産分与の際には、さまざまな税金が関連してきますので、事前に知っておくと節税対策などをすることもできるでしょう。
また、離婚や財産分与の経験が豊富な弁護士に相談するのも方法の1つです。
みなさんの状況などに合わせて良い方法を見つけましょう。