- 不動産投資とは
- 不動産投資はなぜ節税になるのか
- 税金シミュレーション
周りに不動産投資をしている人がいても、実際にどのような仕組みになっているのか、意外に知られていないものです。
不動産投資がなぜ節税になるのかを解説していきます。
不動産投資とは

不動産投資とは、当然ながら利益を目的として事業投資することです。
これまでは株式投資が注目されていましたが、期待に反し損失を生じるリスクがありました。
それに対し不動産投資は、インカムゲイン・キャピタルゲインといった利益が期待できます。
インカムゲインとは、投資対象が生み出す収益のことで、継続かつ定期的な賃料収入などが見込める利益です。
一方キャピタルゲインとは、投資対象を購入価格以上で売却し、得られる売却差益のことをいいます。
仮に利益が出ず売却差損が生じた場合を、キャピタルロスといいます。
このように、株式投資のようなハイリスクは無いにせよ、リスクが全くない訳ではない、ミドルリスク・ミドルリターンなのが不動産投資です。
不動産投資におけるリスク
では具体的にリスクを確認してみましょう。
収入・支出のリスク
空室ができてしまったり滞納があるなど、予定していた収入が得られない。
また、修繕や管理の想定外の出費が発生した場合。
不動産価格の下落リスク
購入価格より低くなったりと、現金化が難しい場合など。
社会的要因のリスク
不動産に関する税制や法制度が変わった場合。
このように、不動産投資にはリスクが伴います。
しかし、不動産投資は節税になることもあります。
不動産投資はなぜ節税になるのか

先ほどもお伝えしたように、不動産投資にはリスクもありますが、節税に繋がる場合があります。
近頃多い、サラリーマンの副業として不動産投資をした場合、給与所得と事業所得の損益通算が可能です。
給与所得では所得税・住民税が主な税金になりますが、不動産投資に関わる税金としては、以下のものがあります。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 固定資産税
- 所得税
- 住民税
不動産を手に入れると、不動産取得税を支払う必要があります。
また、自分名義に登記をする際には、登録免許税が発生します。
当然に毎年固定資産税を支払う事になります。
家賃収入があれば所得税・住民税と、このように不動産を取得することで、様々な税金を支払うことになります。
空室があって稼働率が悪いとしても、固定資産税の額は変わりません。
節税の理由
例えば、サラリーマンが副業として不動産投資をすると、給与所得と事業所得の2つの収入を得ることになります。
サラリーマンの収入は年末調整で給与所得控除されます。
平成29年分給与所得控除
- 1,800,000円以下:収入金額×40%
- (650,000円に満たない場合には650,000円)
- 1,800,000円を超え600,000円以下:収入金額×30%+180,000円
- 3,600,000円を超え6,600,000円以下:収入金額×20%+540,000円
- 6,600,000円を超え10,000,000円以下:収入金額×10%+1,200,000円
- 10,000,000円を超える:200,000円(上限)
一方、不動産投資の所得は確定申告が必要になります。
不動産投資のメリットは「経費」です。
- 減価償却費
- 修繕費
- 租税公課
- 管理費
- 損害保険料
- 借入金利息
- 接待交際費
- 通信費
- 交通費
- 新聞図書費
- 消耗品費 など
その中で「減価償却費」は不動産投資にとって大きなポイントです。
不動産の法定耐用年数は、その構造によって決められています。
(例)
- 木造:22年
- 軽量鉄骨:27年
- 鉄筋コンクリート:47年
※その他詳細は国税庁のHPでご確認下さい。
建物の耐用年数の償却率についても定められており、計算方法は定額法と定率法の2種類があります。
但し、平成10年4月1日以後に取得した建物については、定額法のみが適用されます。
- 定額法:毎年一定額を償却費とする
- 定率法:初年度が最も多く年々減少する
尚、定率法の計算方法については、建物の取得時期によって変わって来ます。
- 平成19年3月31日以前
- 平成19年4月1日以降
- 平成24年4月1日以降
(例)2,000万円で耐用年数22年(木造)の建物を取得した場合
減価償却費の額=取得価額×定額法の償却率
2,000万円×0.046(定額法償却率)=920,000円
毎年920,000円の減価償却費を計上することができ、最終の22年目には679,999円を減価償却費とし、資産価格を1円になるようにします。
このように、減価償却費の金額が大きいため、赤字決算になれば、青色申告することで給与所得と損益通算が可能となります。
では、実際に税金のシュミレーションをしてみましょう。
税金シミュレーション

給与所得のあるサラリーマンが、副業としてマンションを購入し、不動産投資した場合のシュミレーションです。
(例)給与所得の税金
(給与所得5,000,000円と仮定します)
給与所得:5,000,000円
給与所得控除:-1,540,000円
所得税:214,900円(復興特別税含む)
住民税:315,500円
※保険料や扶養控除などを除外して計算
(例)不動産所得の計算
【不動産情報】
購入不動産価格:中古で20,000,000円(土地:1302万円・建物625万円・消費税50万円と仮定します)
築年数:2007年
建物構造:鉄筋コンクリート(耐用年数47年)
家賃収入:80,000円/月
残存耐用年数:37年
税務上耐用年数:39年
修繕積立金:10,000円/月
管理費:4,000円/月
【借入情報】
自己資金:8,000,000円
借入金額:12,000,000円
借入金利:3%
ローン年数:20年
年間シュミレーション
(収入) 家賃収入:960,000円①
(不動産経費)
固定資産税:100,000円
修繕積立金:120,000円
管理費:48,000円
減価償却費:440,000円(減価償却率0.022)
借入利子:198,620円
合計:906,620円②
青色申告控除:100,000円③
事業所得:-46,620円①-②-③
固定資産税の金額については、一般的に評価額に標準税率の1.4%を掛けたものとされていますが、地域によって違いがあります。
上記のシュミレーションでは、仮に10万円として計算しています。
初年度は不動産を取得した際の、登録免許税や不動産取得税などの租税課金も計上可能です。
また、実際には火災保険料や交通費、通信費など更に様々な経費を計上することができますが、簡単に分かりやすく少ない経費で計算しています。
税理士に確定申告を依頼すれば、その費用を経費として含むことも可能です。
このように事業所得が赤字の場合、給与所得と損益通算することができます。
それが不動産投資で節税できると言われている理由です。
よって、給与所得だけで計算された所得税・住民税の金額より少なくなることになります。
但し、減価償却費を計上できるのは、建物の構造によって決まっています。
特に中古購入した場合など、あと何年減価償却費を計上できるかを十分検討すべきです。
赤字でなければ、節税としての意味合いをなさないからです。
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