- 脱税の通報義務
- 脱税幇助の罪とは?
- 白紙の領収証も罪?
脱税は犯罪です。もし脱税を知ってしまったら、通報義務はあるのでしょうか?
情報提供の方法などについてもお伝えしていきます。
Contents
脱税の通報義務
脱税を知る立場にあるのは、主に勤務する、またはしていた社員・従業員や、税理士になります。または特殊関係人(愛人)などもあり得ます。
更に個人事業主などは、家族ぐるみで脱税している場合も考えられます。
そもそも脱税をすると、悪質な場合は10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらを併科となります。
脱税を知ってしまった場合には、税務署に情報提供することが可能です。一般的に情報提供する人は、恨み・妬みが多いといいます。
特に社員・従業員は、リストラされたり勤務先への不満があるとリ-クする傾向が強くなります。
また、社長や個人事業主の愛人から、情報提供を受けることが非常に多いといいます。税務署では愛人のことを、少々上品に特殊関係人と呼んでいます。
愛人はマンションの提供やお手当をもらっていることがあるため、不自然なお金の流れを知っています。
また、社長や個人事業主は、妻には言えないことも、愛人には何でも話してしまう傾向があります。
そのため、秘密のお金の存在も、知っている可能性があります。ただ、愛人の場合は一歩間違えると、贈与として逆に税金を課せられることもあります。
脱税の情報提供の方法
直接税務署へ出向いたり、電話をする方法があります。
過去には投書という方法もありましたが、現在はもっと簡単にインターネットから情報を提供することが出来ます。
国税庁ホームページ
「課税・徴収漏れに関する情報の提供」
https://www.nta.go.jp/suggestion/johoteikyo/input_form.html
氏名や住所、連絡先は任意となっており、匿名での情報提供も可能です。
脱税幇助の罪とは?

脱税を知っているだけではなく、幇助をしている場合も、悪質な場合は
法人税法159条1項において、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金になります。
第159条1項
偽りその他不正の行為により、第74条第1項第2号(確定申告に係る法人税額)(第145条第1項(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額(第68条(所得税項の控除)(第百144条(外国法人に対する準用)において準用する場合を含む。)又は第69条(外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、
(中略)
以下第162条(偽りの記載をした中間申告書を提出する等の罪)までにおいて同じ。)、代理人、使用人その他の従業者(当該法人が連結親法人である場合には、連結子法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者を含む。第163条第1項(両罰規定)において同じ。)でその違反行為をした者は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用:法人税法
税理士の幇助
顧問契約をしている事業所が、脱税をしている事実を知ったら、正しい指導に徹することを税理士法で定められています。
(税理士の使命)第1条
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
引用:税理士法
更に同法36条では、相談の禁止も謳っています。
(脱税相談等の禁止)第36条
税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。
引用:税理士法
そして、隠ぺいや仮装があった場合は、当然のことですが、是正するように助言する義務があります(同法41条3項)。
(助言義務)第41条の3 項
税理士は、税理士業務を行うに当たって、委嘱者が不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れている事実、不正に国税若しくは地方税の還付を受けている事実又は国税若しくは地方税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装している事実があることを知つたときは、直ちに、その是正をするよう助言しなければならない。
引用:税理士法
これらの法に背いた場合は、懲戒処分として同法第45条(脱税相談等をした場合の懲戒)に基づき、
2年以内の税理士業務の停止又は、税理士業務の禁止処分を受けることになります。
または同法第58条(罰則)により、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられます。税理士法では、このように厳しく定められています。
白紙の領収書も罪?

近年は大分少なくなりましたが、
バブルの頃は白紙領収書を切ってくれた店舗がかなりありました。
白紙領収書とは、店の住所・店舗名の記載と印鑑はあるのに、金額欄が空欄になっている領収書をいいます。空領収書などともいいます。
もらった方は自由に金額を書き入れ、飲食代などを水増しします。
会計上は交際費などで落とすことが多いですが、余りに交際費が多いと税務署の税務調査の際にバレてしまう可能性があります。
疑いを持った調査官が、飲食店に反面調査をすれば、簡単に暴かれてしまいます。
当然に空領収書に書き入れたり、書き換えることも文書偽造の罪になります。
領収書の偽造は「私文書偽造罪」(刑法第159条)になってしまい、立派な犯罪です。
(私文書偽造等)第159条
- 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
- 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
- 前2項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
引用:刑法
当然に頼まれた方も、きっぱりと断ることが大切です。場合によっては脱税幇助の疑いをかけられます。
脱税に関するよくある質問&リスク
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