- 脱税・申告漏れによる追徴課税とは?
- 追徴課税が払えない場合
- 具体的な対処方法
脱税や申告漏れで追徴課税されて、払えない場合はどうなるのでしょうか?
支払いが出来ない時の手立てなどをお伝えしていきます。
脱税・申告漏れによる追徴課税とは?
脱税とは簡単に説明すると、納税義務があるのに履行せず、納税額の一部または全部を逃れることです。
実際に脱税と言われるものは、単なる計算ミスや解釈の誤りの「申告漏れ」とは違います。明らかに意図的であり、故意に「所得隠し」をしたり、経費の操作をすることです。
しかし、「申告漏れ」も「所得隠し」も、追徴課税を支払うことになります。
追徴課税とは?
税務調査などにより、申告漏れや所得隠しなどの理由で、本来納税すべき金額よりも
少なく確定申告を行っていた場合に、追加で支払うことになる税金のことを指しています。
追徴課税には次のような4つの種類があります。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
過少申告加算税
法定申告期限内に行った申告に関する、修正や更生に課される加算税です。
税務調査による追加の税金は、不足していた金額の10%の加算税をプラスして支払う事になります。
また、期限内の申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分には15%の割合で加税されます。
無申告加算税
無申告加算税は、全く申告がされていなかった場合の加算税です。
基本的な加算税は15%で、50万円を超える部分には20%の割合で課税されます。
不納付加算税
源泉徴収税額について、法定納期限後に納税の告知があった場合で、税額の10%を納めます。
但し、税務署の告知以前であれば5%に留まります。
重加算税
仮装や隠ぺいなど、悪質であった場合に課せられるのが重加算税です。
過少申告加算税や不納付加算税に代えて35%。無申告加算税に代えて40%です。
例えば本来納めるべきであった納税額が3,000,000円であれば、
3,000,000円×40%=1,200,000円
1,200,000円も余分に支払うことになってしまいます。
更に、延滞税も付加されますから、所得隠しの代償はかなり高額になります。
追徴課税が払えない場合
税務調査などで申告漏れを指摘された場合は、まず修正申告書を税務署に提出します。更に、担当部署に行き、納付書を発行してもらうことになります。
納付書を受け取ったら、最寄りの銀行や郵便局へ出向き、追加の税金を支払います。
普通はこれで終わったのかと勘違いしてしまいますが、追徴課税は後日郵送などで届くことになります。
国税だけではなく地方税もあれば、更に納付書が届きます。
税金が支払えないとき
基本的に税金は一括払いが原則です。
しかし税務調査の結果、数年間遡って税金を支払うことになったら、とても一括では支払いきれない場合が出てくるでしょう。
法人でも個人事業主でも、一括で多額のお金を用意するのは、事業に大きな影響を及ぼす危険性があります。
支払いをしないとどうなるのか?
送付されて来た納付書には、当然ながら納付期日が記載されています。これは意外に短い期間になっています。
しかし、納税期日に支払えないからと、そのままにしているのが一番悪いパターンです。
その後の流れは、一般的に次のようになります。
- 催促状
- 滞納処分
- 差押え予告
- 差押え
期日までに支払いがないと、国税・地方税共に催促状が届くことになります。
国税の場合は、国税通則法第37条(督促)に基づき、国税の納付期限から50日以内に催促状を発するものと定められています。
地方税に関しては、地方税法第329条(市町村民税に係る督促)により、納付期限後20日以内に、督促状を発しなければならないと定めています。
この催促状を無視してしまうと、滞納処分を行うと規定されています。
国税通則法第40条(滞納処分)では、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納されない場合は、滞納処分を行うとされています。
どういった事かというと、税金の回収を財産の差し押さえなどで行う事になります。
財産差押えは、一般的に預金・不動産・車などが多いでしょう。
具体的な対処方法
税金を支払わないと、最終的には差押えされてしまいます。そんな最悪の事態になる前に出来る対処法があります。
実は、税務署では税金の支払いが出来ない時に、個別に相談にのってくれます。
猶予制度というものがあり、「換価の猶予」「納税の猶予」の2つがあります。
「換価の猶予」
- 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
- 納税について誠実な意思を有すると認められること
- 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
- 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
- 原則として、担保の提供があること
引用先:国税庁HP
これら5つの項目に該当する場合に、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められます。
もし全てを満たしていないとしても、税務署長の職権による換価の猶予がありますので、まずは相談してみることが大切です。
「納税の猶予」
1.次のAからFのいずれかに該当する事実があること
A 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難に遭ったこと
B 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと
C 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと
D 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと
E 納税者に上記AからDに類する事実があったこと
F 本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと
2.猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められること
3.申請書が提出されていること(上記「1.F」の場合は納期限までの提出)
4.原則として、担保の提供があること
引用先:国税庁HP
1.から4.の要件全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められる場合があります。
これら「換価の猶予」「納税の猶予」が認められると、猶予期間中の延滞税の全部または一部が免除されます。
また、財産の差押えや、換価(売却)が猶予されます。これらは、申請書類及び証明書類が必要になります。
相談によって分割も可能な場合がある
上記のような猶予制度はあるものの、現実的に1年間の猶予ではどうにもならない場合が多いものです。そのような時は、税務署に相談してみましょう。
催促状から逃げずに、真摯に対応することで、差押えなどを回避してくれます。
支払う意思があることを伝え、月々に支払える金額を申し出て、分割の相談をしてみましょう。
国税も地方税も、実際に分割で支払っている個人や会社があります。まずは相談をしてみましょう。
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