- 脱税とは?
- 罰金と懲役
- 脱税で逮捕される場合
知っているようで意外に知らない、脱税について解説していきます。
脱税の罰則や重加算税についても確認していきましょう。
Contents
脱税とは?

脱税とは納税義務のある者が、義務の履行を怠り、
納税額の一部あるいは全部を故意に隠ぺいしたことを言います。
脱税する税金には、法人税・所得税・相続税・消費税・源泉所得税などがあります。
一般的に脱税で代表的なのは、法人税や所得税になります。租税の負担を減少させる行為には、大きく分けて次の3つがあります。
- 脱税
- 節税
- 租税回避
節税とは、要件を満たしたうえで、税法に則った税負担の軽減を受けることを言います。例としては医療費控除や住宅ローン減税などが挙げられます。
一方租税回避は、違法行為ではないが税負担を逃れる目的で、通常を逸脱した取引を行うなど、税負担の軽減を受けることです。
脱税と混同されやすく、いわばグレーゾーンに該当します。脱税は、見解の相違や経理ミスなどの申告漏れとは違い、明らかな仮装や隠ぺい行為がある場合です。
脱税の手法
脱税の方法は、大きく分けて3種類しかないといわれています。
- 売上を抜く
- 経費を水増しする
- 上記の両方をする
どのような状態か、具体的に説明すると次のようになります。
売上を抜く
ある取引の法人税を払わないために、手渡しや別口座でお金を受け取るなどして、売り上げを計上しない行為です。
当然に大きな金額を受け取ると、見つかりやすいリスクが生じます。
経費を水増しする
例えば、実際は雇っていないアルバイトを、多数雇用したように経費を多く見せかける方法です。
また、白紙の領収証をもらって書き入れたりといった偽造や、架空の仕入れなどがあります。
近年増加しているのが無申告事案
インターネットの普及で、これまでの脱税逃れとは違った「無申告事案」が増加しています。
無申告事案には、ネット販売やネットオークション、ネット広告、ネットトレードなどが挙げられます。
平成27年度の国税庁の調査「インターネット取引を行っている者の調査状況」によると、実施調査(特別・一般)の調査件数は2,013件となっています。
それによると、1件当たりの申告漏れ所得金額は1,164万円で、前年度の申告漏れ所得金額941万円の約1.2倍になっています。
申告漏れ所得金額の総額は、234億円にも上っています。調査の2,013件の内訳は次のようになります。
- ネット販売:572件(28.4%)
- コンテンツ配信:27件(1.3%)
- ネットオークション:450件(22.4%)
- ネット広告:253件(12.6%)
- ネットトレード:369件(18.3%)
- その他のネット取引:342件(17.0%)
引用:国税庁HPより(H29.8月現在)
その他のネット取引は、出会い系サイトの運営などが挙げられます。
罰金と懲役

脱税すると罪の重さに応じて、
検察庁に告発され刑事罰になるものから、
行政的な処分だけの場合もあります。
有罪判決を受けた場合には、法人税法や所得税法などにより、一般的に10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処せられます(法人税法159条1項・所得税法238条1項)。
罰金刑の場合は、脱税額の20~30%を支払う必要が発生することもあります。更に加算税を支払う場合もあります。
加算税は4つの種類に分類されます。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
過少申告加算税
期限内に申告書を税務署に提出していたものの、実際より少なく確定申告してしまった時に支払う加算の税金です。
50万円までは5%で、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額になります。修正納付期限を過ぎると、更に延滞税が付加されます。
無申告加算税
確定申告書を期限内に提出しなかった場合の加算税金は、納付税額の10%になります。50万円を超える部分に関しては15%が加算されます。
過少申告加算税同様に、修正納付期限を過ぎると税率が上がり、更に延滞税が付加されます。
不納付加算税
源泉所得税の納付が遅れてしまった場合は、不納付加算税という罰則的税金が追加でかかってしまいます。
源泉所得税の10%が加算されますが、例外として、不納付加算税が5,000円未満の場合や、納付期限から1ヶ月以内であれば免除される場合もあります。
重加算税
脱税に当たる仮装や隠ぺいが見られる場合や、繰り返し無申告であった場合などが該当します。
修正納付期限内であれば35%になり、期限後であれば40%にもなってしまいます。
また、過去5年以内にも重加算税等を課されている場合は、45%の重加算税になります。
更に修正納付期限を過ぎると50%にもなり得る場合があります。
延滞金について
法定納付期限までに納付しない場合は、延滞金が付加されます。延滞金は税金に限ったものではありません。
身近なところでは、レンタルビデオを返却期限内に返さなければ、延滞金がかかりますから、税金でも同様になります。
納付期限から2ヶ月までは7.3%であり、それ以降は14.6%になっています。延滞税の割合は国税庁のHPでも確認できます。
脱税で逮捕される場合

脱税の罰則・罰金についてお話ししてきましたが、
実際に逮捕に至るのはどのような場合でしょうか?
一般的に税務調査には2種類あります。
- 任意調査
- 強制調査
任意調査は国税通則法第34条の6第3項に基づき行われます。事前に税務署から電話で、いついつ伺いますと連絡があります。
一方、国税犯則取締法という法律に基づき行われるのが強制調査になります。俗にいう「マルサ」です。
「マルサ」は国税局の査察部(マル査)を指しています。逮捕にまで発展するのは、この強制調査であり、事前の連絡が全くなく、ある日突然にやって来ることが多いと言います。
事前の連絡で、関係書類を隠されることを回避しているからです。強制調査は1億円以上の脱税が見込まれるケースが多いと言われています。
脱税は先ほどもお伝えしたように、刑罰として10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金になります。
前科がつく犯罪者となるのは、悪質かつ1億円以上の大金を脱税していた場合になります。
一般的には余り関係がないように思いますが、少額であっても正当な申告をするのは当然のことです。
過少申告加算税や無申告加算税など、余計な出費を防ぐためにも、「少しぐらい大丈夫」といった気持ちは持たないことです。
脱税に関するよくある質問やリスク
>>脱税・申告漏れによる追徴課税が払えない場合は?債務整理するしかない?
>>脱税を知ったら通報義務がある?窓口に告発しなければ脱税幇助の罪になる?
>>税務署は個人口座も調査できる?個人事業主が脱税すれば確実にバレる?
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