- 税務署への脱税通報
- こんな人からのタレコミが多い
- 情報提供のその後
脱税の通報には、タレコミも実際にあります。
日本では昭和21年頃から、情報提供者に報奨金を支払っていた時代がありました。
しかし、様々な弊害が生じ、昭和29年に報奨金制度を廃止しました。
税務署への脱税通報

驚くことに、税務署への情報提供は非常に多く、
そこから脱税が発覚した例も少なくありません。
火のない所に煙は立たぬと言いますが、情報提供は恨み・妬みが絡むものが殆どだといいます。
直接税務署へ出向く人から、電話や投書、最近では国税局のホームページからも簡単に情報を送ることが出来るようになりました。
https://www.nta.go.jp/suggestion/johoteikyo/input_form.html
「課税・徴収漏れに関する情報の提供」コーナーでは、これまでの情報提供例も以下の様に掲載されています。
- 租税回避スキーム(節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避など)に関する情報やその組成・販売をしている者又は利用をしている者に関する情報
- 虚偽の売上金額(収益)や必要経費(費用)に基づく経理等により、不当・不正に所得金額等を低く(又は還付税額を多く)申告している者及びその手口の情報
- 事業が活況を呈するなど、申告する必要があると考えられるにもかかわらず申告をしていない者に関する情報
- 他人名義での取引、他人名義の口座等を利用した取引又は事実に基づかない契約書、領収書、請求書、納品書等の書類の作成、交付、作成依頼等(白紙領収書等の交付依頼等を含む。)を行っている者に関する情報
- 海外で稼得した所得に係る課税を免れている者や各国の税制の違い・租税条約を利用して課税を免れている者に関する情報
- 国税を滞納しているにもかかわらず、財産を隠匿している者に関する情報
引用:国税庁HP
更に、「帳簿、領収証、請求書、契約書、預金通帳の写しなど提供する情報に関する書類をお持ちでしたら、
対象者の所轄の国税局又は税務署に郵送等してください。」と記載されています。
そういった確証のある書類の提出は、税務署にとっても有益な情報になります。勿論、情報提供者の個人情報も守られます。
こんな人からのタレコミが多い

脱税の情報提供は、身近な人間からが多いといいます。
現従業員、または元従業員からの密告が多く、内部をよく知っているだけに、信ぴょう性もあります。
待遇面での不満や、リストラされた恨みなど理由は様々なようです。
特に経理を担当していた社員や管理職は、不透明なお金の流れを詳細に知っています。
また、ライバル会社の情報は妬みが多いといいます。中にはただ単に商売敵を困らせようと、嫌がらせ的な情報も存在します。
そして、こんな人の密告もあります。税務署では特定関係人と呼んでいますが、俗にいう愛人です。
愛人との良好な関係を保っていれば問題がなかったのでしょうが、何らかのトラブルや別れ話し、他の愛人の発覚などで恨みを買うことがあります。
愛人の場合は、マンションを購入してもらっていたり、毎月のお手当など、不透明な現金の流れが予想されます。
中には隠し金庫を預かっているなどという話も勃発します。個人事業主の場合は親族からの密告もあります。相続が絡むことが多く、ドロドロとした骨肉の争いだといいます。
情報提供のその後

税務署は告発を受けた後に、どのように動くのでしょうか?
税務署に寄せられる情報は、10件に1件程度が調査に及ぶといいます。意外に当てにならない情報が多く、その殆どが恨みつらみになります。
有力情報については税務調査の対象になりますが、それ以前に疑わしいと思われる企業や個人事業主の反面調査を行うことになります。
税務署の調査には様々な種類があり、初めは机上調査や外観調査などという準備調査から開始されます。
更に通常の税務調査と言われるものは、任意調査と強制調査があります。
任意調査は帳簿等を調べる実地調査の他にも、証拠が不十分な場合に実施する特別調査や特殊調査があります。
強制調査は悪質な脱税者に対し、告発を目的に捜索されます。
この強制調査では実際に差押さえなどをすることも可能で、査察と呼ばれています。また、裏付けを取るための反面調査もあります。
反面調査とは?
調査の対象となる企業や個人事業主の、関係している取引先や銀行に聞き取り調査をします。
主に次のような方法が取られます。
- 文書で照会をする
- 電話による照会
- 相手先に出向いて確認する
この反面調査は事前の連絡はありませんし、拒否することも出来ません。
反面調査は、例えば売上の確認を取るために、売上先に照会をしたり、仕入の確認を取るために仕入先に照会をします。
疑わしい人件費の計上は、実際にその人物が雇用されているかを照会します。
取引銀行に関しても、預金取引について操作や怪しい入出金がないか照会します。そうして1つ1つ裏付けを取っていきます。
任意調査・強制調査の結果
調査の結果、脱税目的が発覚した場合は、ペナルティとして加算税が課せられます。
加算税には次のような種類があります。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
過少申告加算税は、期限内の申告はしているが、修正申告や更正があった場合です。
無申告加算税は確定申告の期限内に申告がない場合です。
納付額が50万円までは15%、50万円を超える場合は20%を支払う必要があります。
不納付加算税は、源泉所得税の納付が遅れてしまった際の罰則になります。
重加算税は、隠ぺいや仮装のあった悪質な場合に課せられる罰則になります。
故意に実際よりも少ない納税額の申告書を提出した場合は、過少申告加算税に加えて、追加納税額の35%が課せられます。
更に申告をしなかった場合は、無申告加算税に加え、納税額の40%が課されてしまいます。加えて延滞金も付加されます。
国税局査察部(通称:マルサ)が動くような脱税は、刑事告発を目的としています。
脱税の情報が提供された場合は、大抵重加算税になることが多いといいます。
脱税の通報・タレコミは怖いという事を忘れてはいけないでしょう。
脱税は通常支払う税金の、何倍もを支払うことになってしまいます。
密告などされないように、日頃から正確な会計処理をすることが大切になります。
脱税のよくある質問やリスク
>>脱税・申告漏れによる追徴課税が払えない場合は?債務整理するしかない?
>>脱税を知ったら通報義務がある?窓口に告発しなければ脱税幇助の罪になる?
>>税務署は個人口座も調査できる?個人事業主が脱税すれば確実にバレる?
>>【税務署への脱税の通報・タレコミ】匿名メールで情報提供して報奨金もGET?