- 個人事業主の税金
- サラリーマンの税金
- 会社員と個人事業主は両立できる?
近頃は、会社員で副業を持つ人が増えてます。
個人事業主とサラリーマンの両立について、税金にスポットを当てて解説していきます。
個人事業主の税金

個人事業主が納めることになる税金は、所得税、消費税、住民税、個人事業税の4種類になります。
【所得税】
所得税とは、収入から所得控除を差し引いた金額に対し、一定の税率で課される税金になります。
【所得税の計算式】
収入 − 経費 − 各種控除=課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 課税控除額=所得税額
収入がダイレクトに課税所得金額にならず、経費や控除を差し引くことができます。
まず、個人事業主で使う必要経費には、どのような勘定科目があるかご紹介していきます。
白色申告では収支内訳書として使用される勘定科目であり、青色申告では損益計算書で使用される経費の勘定科目です。
どちらもほぼ同様となりますが、事業専従者の扱いが白色申告と青色申告では違っています。
経費の勘定科目
- 租税公課:税金関係(印紙税・自動車税・個人事業税・固定資産税・不動産取得税・登録免許税など)
- 荷造運賃:郵便小包や宅配便の配送料及び梱包材(ダンボール・ガムテープなど)
- 水道光熱費:事業用の電気・ガス料金、水道料金、灯油代など
- 旅費交通費:電車・バス・タクシーなどの運賃、航空運賃、駐車料金、有料道路の通行料、宿泊代など
- 通信費:事業用の電話・FAX料金、インターネット利用料、切手代、ハガキ代
- 広告宣伝費:名刺、広告料金、求人広告費、試供品の製作費、看板
- 接待交際費:得意先との飲食費、中元・歳暮、慶弔見舞金、得意先とのゴルフなど
- 損害保険料:事業用の自動車保険、店舗等の損害保険・火災保険など
- 修繕費:店舗・乗用車・器具備品等の修理代など
- 消耗品費:文房具などの事務用品、パソコン用備品など
- 減価償却費:高額な購入資産の当期費用(自動車・パソコン・設備機械など)
- 福利厚生費:社員旅行費、レクリエーション費用、慶弔見舞金、健康診断費用、制服代など
- 給料賃金:従業員の給料(※専従者給与は含まない)
- 外注工賃:外部の業者に発注して支払った費用(ホームページ作成、電気工事費、システム開発、加工など)
- 利子割引料:金融機関からの借入利息、受取手形の割引手数料、自動車ローン、住宅ローンなど
- 地代家賃:事務所・店舗にかかる費用(家賃、倉庫使用料、土地使用料、駐車場使用料など)
- 貸倒金:回収ができない売掛金、未収金、貸付金、前渡金など
- 雑費:どの勘定科目にも属さない少額費用(クリーニング代、書籍、植物・花、お茶・コーヒーなど)
このような経費を収入から差し引く事が可能です。
更に各種控除を差し引き課税所得金額が算出できます。
その課税所得金額に税率をかけて控除額を差し引いた金額が、所得税額になります。
所得税率は、国税庁のホームページでも確認することができます。
【所得税の速算表】(平成27年分以降)
- 195万円以下:5%(控除額0円)
- 195万円を超え330万円以下:10%(控除額97,500円)
- 330万円を超え695万円以下:20%(控除額427,500円)
- 695万円を超え900万円以下:23%(控除額636,000円)
- 900万円を超え1,800万円以下:33%(控除額1,536,000円)
- 1,800万円を超え4,000万円以下:40%(控除額 2,796,000円)
- 4,000万円超:45%(控除額4,796,000円)
算出された所得税は、その年の確定申告提出期限日までに納めることになります。
例年は3月15日までが多いようです。
【住民税・消費税・個人事業税】
住民税に関しては確定申告することで、税務署から住民票のある地方自治体に連絡が行き、納付書が個人事業主宛に郵送で送られて来ます。
そして消費税に関しては、まず開業して2年間は「免税事業者」として消費税の免除がなされます。
更に、前々年度の課税売上高が1,000万円未満の場合は、「免税事業者」となります。
しかし、前年の上半期だけで課税売上高が1,000万を超え、かつこの期間の給与等の支払い金額も1,000万円を超えた場合には、課税事業者となります。
個人事業主は、個人事業税を納める義務があります。
個人事業税は、事業主控除として290万円が控除されます。
よって、年間の事業所得が290万円以下であれば、個人事業税も免税されることになります。
個人事業税は次のような計算で算出されます。
収入 − 必要経費 − 専従者給与等 − 各種控除× 税率=個人事業税
必要経費については、所得税の個所で説明した通りです。
個人事業税では専従者給与等を差し引くことになります。
専従者給与とは、家族従業員のことをいいます。
白色申告では、事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者1人につき50万円と規定されています。
しかし、青色申告では上限がなく、「専従者給与」として経費に計上が可能です。
但し、次の条件を満たしている必要があります。
- 青色申告者と生計を一緒にしている配偶者、もしくは親族
- その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること
- 青色申告者の営む事業にもっぱら従事していること
また、個人事業税でいう各種控除は、所得控除とは違います。
先ほどもお伝えしたように、一律で事業主控除290万円が適用される他、3つの繰越控除があります。
- 損失の繰越控除(青色申告者で赤字の場合)
- 被災事業用資産の損失繰越控除(白色申告者が震災などで損失がある場合)
- 譲渡損失控除・繰越控除(事業用資産を譲渡して損失がでた場合)
これら控除を差し引き、個人事業税の税率をかけることになります。
税率は業種によって異なっており、地方税につき各自治体により定められています。
サラリーマンの税金

サラリーマンの税金は、所得税と住民税になります。
所得税は、毎月の給与及び賞与から天引きされる税金です。
多くの方は手取額ばかり見ていて、天引きされている税金を、余り意識していないのではないでしょうか。
サラリーマンの所得税の計算は、個人事業主のように経費は認められていません。
その代わり、給与所得控除というものがあります。
【給与所得控除】(平成29年分)
- 1,800,000円以下:収入金額×40%(※650,000円に満たない場合には650,000円)
- 1,800,000円超え3,600,000円以下:収入金額×30%+180,000円
- 3,600,000円超え6,600,000円以下:収入金額×20%+540,000円
- 6,600,000円超え10,000,000円以下:収入金額×10%+1,200,000円
- 10,000,000円超え:2,200,000円(上限)
住民税は各自治体(市区町村)に納めることになりますが、「均等割」と「所得割」で算出されます。
- 均等割:所得金額にかかわらず定額で課税
- 所得割:前年の所得金額に応じて課税
通常サラリーマンの場合は、特別徴収という給料から天引きされる方法がとられます。
サラリーマン以外は一般的に普通徴収という方法であり、自治体から納税通知書が送られて来て、最寄りの金融機関などで納付することになります。
サラリーマンの源泉徴収
先ほどもお伝えしたように、サラリーマンは税金を給料から天引きされます。
この仕組みを源泉徴収制度といいます。
各企業の経理担当者などは、「給与所得の源泉徴収税額表」という早見表から金額を算出します。
この給与所得の源泉徴収税額表」はあくまで概算ですから、どこかで見直す必要があります。
それが年末調整になります。
会社員と個人事業主は両立できる?

個人事業主とサラリーマンの税金についてお伝えしてきました。
では、両立は可能なのでしょうか?
サラリーマンで副業を持っている人の人口が増加しています。
当然に両立は可能ですが、問題があるとすれば、社員規定で副業を禁止している場合です。
税金に関しても、会社の所得は源泉徴収で、副業の所得は確定申告することになります。
もし社員規定で禁じられていても、バレないだろうと思いがちです。
しかし、よくバレてしまう原因の1つに、住民税があげられます。
繰り返しますが、サラリーマンの税金は、住民税も含め特別徴収といって、給料から天引きされます。
一方、副業の住民税の支払い方法は、確定申告の際に特別徴収か普通徴収かを選択することが出来ます。
社員規定で副業が禁じられていなければ、特別徴収を選択して給料から一緒に天引きが可能です。
もし副業が禁止されていれば、普通徴収を選択して自分で納付する方法もできます。
ただ注意が必要なのは、普通徴収を選択していても、自治体(市区町村)ごとの取り決めで、特別徴収にしてしまうことがあります。
そうなると当然に自治体から会社に連絡が行き、バレてしまうケースがあります。
回避する方法はない?
元々、地方税法第41条、第321条の4及び第328条の5第1項の規定により、所得税の源泉徴収義務のある事業主は、従業員の個人住民税についても給与から差し引きして納めることと、義務付けられています。
自治体(市区町村)から会社に特別徴収の連絡通知が行くのは、一般的に5月頃になります。
方法としては、それ以前に自治体に出向き相談してみましょう。
本来は法律で決められていることですから、理由などをよく説明の上、まずは相談してみることです。
節税や脱税のリスクについて
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